イヴァーノ＝フランキーウシク

イヴァーノ＝フランキーウシク：カルパティア山脈の珠玉の都市

イヴァーノ＝フランキーウシクは、ウクライナ西部のカルパティア山脈に広がるポクッチャ平野に位置する歴史都市です。イヴァーノ＝フランキーウシク州の州都として、豊かな歴史と文化を誇り、独特の雰囲気を醸し出しています。ブィストルィツャ・ナドヴィルニャンシク川とブィストルィツャ・ソロトヴィンシカ川の合流地点に築かれたこの都市は、幾多の変遷を経て現在の姿に至っています。

変遷に富む歴史

16世紀、ウクライナ人の居住地として創設されたイヴァーノ＝フランキーウシクは、1662年から1939年まではスタニスラーヴィウという名称で知られていました。この地は、17世紀にポーランド貴族ポトツキ家によって要塞が築かれ、ポーランド王から自治権が与えられたことで発展を遂げます。1665年にはアルメニア人教会が建立され、アルメニア人の人口増加に貢献。1666年には市役所が建設され、ウクライナ人、ポーランド人、アルメニア人、ユダヤ人がそれぞれ異なる地区に住むという独特の都市構造が形成されました。1669年にはクラクフ大学の支校も設置され、教育面でも発展を遂げています。

1772年にはオーストリア帝国領となり、1848年のオーストリア革命後にはウクライナ人を中心とした「ルーシ・ラーダ」という市議会が設立されるなど、ウクライナ人の民族意識の高まりを反映した出来事もありました。1866年の鉄道開通は、都市の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

20世紀に入ると、第一次世界大戦でオーストリア・ロシア両軍の激戦地となり大きな被害を受けます。1918年にはオーストリア＝ハンガリー帝国の崩壊とともに西ウクライナ人民共和国の領土となり、一時首都として機能するも、まもなくポーランド軍によって占領されました。1939年、ソ連軍の占領によってウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国の領土となり、市名は「スタニスラーウ」と改称されました。ポーランド人やウクライナ独立派への弾圧が開始されるなど、暗い時代を迎えることになります。第二次世界大戦中はドイツ軍の占領を受け、ユダヤ人への迫害が激化。その後、ソ連軍の再占領、そしてウクライナ蜂起軍との戦いが繰り広げられました。

1962年、ウクライナ人作家イヴァン・フランコにちなみ、現在のイヴァーノ＝フランキーウシクと改名されました。1990年代には反ソ運動の高まりを受け、ウクライナ国旗が市役所に掲揚され、1991年のウクライナ独立後にはイヴァーノ＝フランキーウシク州の州都としての地位を確立しました。

多様な文化と魅力的な観光スポット

イヴァーノ＝フランキーウシクは、多様な文化が混在する都市です。アルメニア人教会（1762年）、聖マリアの教会（1672年～1703年）、イエズス会のカレッジ（1744年）、聖復活大聖堂（1753年～1763年）、市役所（1930年）など、歴史的な建造物が数多く残されています。これらの建造物は、イヴァーノ＝フランキーウシクの歴史と文化を物語る貴重な遺産であり、観光客にとって大きな魅力となっています。

人口と姉妹都市

2001年の人口は約218,400人で、ウクライナ人が約97％を占めています。母国語はウクライナ語が約98％と圧倒的に多いです。イヴァーノ＝フランキーウシクは、ルーマニア、ポーランド、ロシア、ベラルーシなど、多くの都市と姉妹都市提携を結んでおり、国際的な交流も盛んです。

まとめ

イヴァーノ＝フランキーウシクは、カルパティア山脈の美しい自然と、複雑で豊かな歴史、そして多様な文化が調和した魅力的な都市です。歴史的建造物や博物館を訪ね、この地の歴史を肌で感じ、ウクライナ文化に触れる貴重な機会となるでしょう。

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