イーサン・アレン級原子力潜水艦

イーサン・アレン級原子力潜水艦の概要

イーサン・アレン級原子力潜水艦（Ethan Allen class submarine）は、アメリカ海軍の戦略ミサイル原子力潜水艦（SSBN）で、全5隻が1960年代から1980年代にかけて運用されました。これらの潜水艦は、冷戦時代におけるアメリカの核戦力の一翼を担っており、その設計や運用においても非常に重要な役割を果たしました。

開発の背景

アメリカ海軍は、潜水艦から発射可能な弾道ミサイル「ポラリス」の実用化とともに、戦略的な原潜の必要性を認識し、ジョージ・ワシントン級を導入しましたが、こちらは別のクラスのものです。イーサン・アレン級は、その後に続く艦艇として、初めから戦略原潜としての設計がなされ、そのための諸要素が洗練されているのが特徴です。

設計と性能

この級の潜水艦は、スレッシャー級攻撃潜水艦の静粛性や深海行動能力を取り入れており、艦型や内部の配置も最適化されています。弾道ミサイルは主に艦体の後部にあるミサイル区画に集中的に搭載されており、初期にはポラリスA-2（射程約1500浬）が使用されていました。しかし、1974年から1976年にかけては、より改良されたポラリスA-3に取り替えられました。

その後、ポセイドンC-3という新たな潜水艦発射弾道ミサイルが開発されましたが、イーサン・アレン級は老朽化が進んでいたことから、これを搭載することは見送られました。

軍縮と改装

1980年代に入ると、オハイオ級原子力潜水艦が就役し、イーサン・アレン級は、第一次戦略兵器制限交渉条約の条項に従うために攻撃型原子力潜水艦（SSN）への改装を受けました。具体的には、ミサイル発射制御システムが除去され、ミサイル発射管にはコンクリートが充填されました。さらに、2番艦のサム・ヒューストンと4番艦のジョン・マーシャルには、特殊部隊の輸送を可能にするためのドライデッキシェルターが追加され、最大67名の兵員を載せることができるようになりました。

処分と現在

イーサン・アレン級原子力潜水艦は、1983年から1992年の間に退役し、その後1992年から1999年にかけて原子力艦再利用プログラムにより処分されました。この級の潜水艦は、特に冷戦期におけるアメリカの戦略の要として、多くの歴史的背景を持つ重要な艦艇です。

イーサン・アレン級は、技術的な革新や軍事戦略の転換点を象徴しており、アメリカ海軍の核戦力の発展において欠かせない存在でした。

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