イーストコーストの風景

イーストコーストの風景 (East Coast Pictures)

ナイジェル・ヘス作曲の吹奏楽曲「イーストコーストの風景」は、作曲者がアメリカ東海岸を訪れた際の印象を基に、3つの楽章からなる組曲として構成されています。この曲は、英国青少年吹奏楽団（現在のナショナル・ユース・ウィンド・オーケストラ・オブ・グレートブリテン）の委嘱を受け、1985年にナショナル・ウエストミンスター銀行の資金提供によって作曲されました。

日本では「イーストコーストの風景」という邦題が広く浸透していますが、原題をカタカナ表記した「イースト・コースト・ピクチャーズ」や、直訳した「東海岸の風景画」という呼称も用いられます。

概要

初演は1985年4月16日にブレント・タウン・ホールで行われました。作曲者ヘスは、アメリカ東海岸の様々な場所、特にニューヨークとその近郊の地名や地形、地域（島や山）を題材に、この吹奏楽曲をまとめました。

演奏時間は、作曲者自身の指揮による録音で約14分52秒です。楽譜は、当初ヘス自身の出版社であるマイラ・ミュージックが版権を所有していましたが、1999年にイギリスのフェイバー・ミュージックから正式に出版されました。また、フィリップ・リトルモアの編曲によるブラスバンド版も同社から出版されています。

楽曲構成

この組曲は3つの楽章で構成されており、各楽章は独立して演奏されます。以下に各楽章の詳細を説明します。

第1楽章：シェルター島 (Shelter Island)

テンポ: Bright (♩=c.138)
拍子: 12/8拍子

この楽章は、夏には観光客で賑わうシェルター島の、冬の週末の情景を描写しています。冬の大西洋の荒波にもまれる島の様子が、音楽を通して表現されています。

第2楽章：キャッツキル山地 (The Catskills)

テンポ: Steady 4 (♩=c.72)
拍子: 4/4拍子

北部のキャッツキル山地の、静かで力強い、そして平穏でありながらも威厳のある姿を表現しています。印象的な旋律がコルネットの独奏などによって奏でられ、聴く者に深い印象を与えます。

第3楽章：ニューヨーク (New York)

テンポ: Bright 4 (♩=168)
拍子: 4/4拍子

この楽章は、マンハッタンの街中の喧騒と活気を描いています。終盤では、一斉休止の静寂を破って緊急車両のサイレンが鳴り響き、それがきっかけとなって楽曲がクライマックスへと盛り上がります。都会のダイナミズムとエネルギーが、音楽を通して力強く表現されています。

編成

この楽曲は吹奏楽のために作曲されており、多様な楽器が用いられています。詳細な編成については、楽譜を参照してください。

参考文献

フルスコア解説（フェイバー・ミュージック版）、1999年
ナイジェル・ヘス：CD解説『East Coast Pictures - The Wind Band Music of Nigel Hess』（ナイジェル・ヘス指揮、ロンドン・シンフォニック・ウィンド・オーケストラ）Fly Records FLY CD105、1992年

外部リンク

* 出版社の楽譜情報 (英語)

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