イ式小銃

イ式小銃（イしきしょうじゅう）の概要

イ式小銃は、大日本帝国陸軍が1938年にイタリアから購入し、1940年に準制式化したボルトアクション式の小銃です。英語圏ではType I rifleという名称でも知られています。

背景と導入

イ式小銃の導入は、1937年に締結された日独伊防共協定に由来します。この協定成立を記念する形で、日本はイタリアと契約を結び、約60,000挺の小銃を購入しました。これにより、1940年に準制式として採用されることになりました。この背景には日中戦争の影響があり、小銃の需要が高まり、また新たな同盟国への配慮があったのです。また、同時期に日本陸軍はドイツからも多数のマウザー製小銃を輸入しており、こちらはモ式小銃として1939年に準制式として採用されました。

設計と特徴

イ式小銃は、イタリア王国軍のカルカノM1891を基に、日本陸軍の要求に基づく仕様にアレンジされました。特に、三八式歩兵銃を参考にしたデザインが施され、イタリアで新たに開発・生産されました。ただし、木製の部品は日本国内で仕上げられたようです。このため、カルカノM1891との共通点はあるものの、細部の設計においてはかなりの変更が加えられています。製造はベレッタやファブリック・デ・アームズなど、いくつかの企業によって行われました。

イ式小銃は、三八式歩兵銃と同じ弾薬（6.5mm×50SR）を使用し、銃剣には三十年式銃剣が採用されています。また、銃身に菊の紋章がない点も特徴的です。この小銃は、長小銃型（歩兵銃）と短小銃型（騎兵銃）に分かれていますが、全長などの大きさは三八式とほぼ一致しています。

使用状況

イ式小銃は日本陸軍によって購入されたものの、実際に届いた時点でボルト部分が脆弱であり、激しい前線での運用には耐えられないとされました。そのため、陸軍内部では一般的な使用はされず、一部は学校や青年学校の訓練用として使用され、残りは海軍に供与となりました。特に、海軍陸戦隊では慢性的な小火器不足があり、主にこの小銃が装備として充てられたのです。

まとめ

イ式小銃は、日中戦争の最中という特別な背景を持ちながら導入されたボルトアクション式の小銃です。設計上の特徴として、コックオンオープニング方式を採用し、三八式と類似した部分が多く見られますが、実戦での使用には限界がありました。その結果、主に海軍に供与される形となり、太平洋戦争において使われることとなります。このように、イ式小銃は日本陸軍の歴史の一部として位置付けられる重要な兵器でした。

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