ウィットネス (カメラ)

ウィットネス（Witness）は、1948年頃にイルフォードから発売された、ライカ判のレンジファインダーカメラです。このカメラは、エルンスト・ライツで光学設計者として活躍していたロバート・スタンバーグと、ツァイスに勤務していたD.A.ロスチャイルドという二人の専門家によって共同で製作されました。

概要

ウィットネスの製造台数は、イルフォード銘で約350台、その後イルフォード銘ではなくなり約100台が製造されたという説がありますが、正確な台数は不明です。このカメラの大きな特徴の一つは、裏蓋が取り外せる構造になっているため、フィルムの装填が非常に容易である点です。また、連動距離計を内蔵したファインダーは、撮影時のパララックス（視差）を自動的に補正する機能を備えています。

シャッターダイヤルは、回転しないタイプが採用されており、露出設定を行う際に独特の操作感があります。レンズマウントは、専用のバヨネットマウントと、ライカLマウントの両方に対応しているため、様々なレンズを使用することができます。標準で装着されているレンズは、ダルメイヤーのスーパーシックス（Super-Six）50mmF1.9です。このレンズは、一見すると沈胴式のように見えるデザインですが、実際には固定鏡胴です。

ヘリコイドは、通常は1mの位置でストッパーがかかりますが、ピントレバーを押しながら回すことで、距離計が連動しないものの、さらに1.7ft（約0.5m）まで近接撮影が可能です。これにより、より幅広い撮影表現が可能になります。初期にはダロン（Daron）50mmF2.9、試作段階ではセプタック（Septac）50mmF1.5というレンズが存在したという情報もありますが、どちらも非常に希少なレンズとなっています。

ウィットネスは、その独特な機構と高い光学性能から、コレクターやカメラ愛好家の間で非常に人気のあるカメラです。特に、製造台数が少ないため、市場に出回ることは稀で、見つけることができれば幸運と言えるでしょう。その歴史的価値と希少性から、現在でも多くの人々に愛され続けている名機です。

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