ウィリアムズ・FW11

ウィリアムズ・FW11

ウィリアムズ・FW11は、ウィリアムズ・レーシングが1986年のF1世界選手権用に開発したフォーミュラ1カーです。この車両は、前作FW10の後継モデルであり、ウィリアムズの初めての完全カーボンモノコックシャシーを採用しています。設計は著名なエンジニア、パトリック・ヘッドによるもので、彼の手によって数々の革新が取り入れられました。

FW11は、エンジンにホンダ製のターボエンジンRA166Eを搭載しており、前世代モデルよりもさらに改良が加えられました。この車両は1986年の開幕戦ブラジルGPにおいて、ネルソン・ピケの手によって勝利を収め、デビューレースでの成功を収めました。さらに、その後のレースでもナイジェル・マンセルが活躍し、特にベルギーGPでの優勝が印象に残ります。

このシーズン中、FW11は全16戦中9勝を挙げ、ウィリアムズ・ホンダはコンストラクターズチャンピオンのタイトルを獲得しました。ただし、ドライバーズチャンピオンは最終戦までもつれ込み、アラン・プロストが漁夫の利を得る形になりました。ネルソン・ピケはシーズン中No.1待遇を受けながらも、チーム内での戦略的な混乱から、最終的にはランキング第3位に終わる結果となりました。

契約上ではピケがNo.1マシンを持つはずでしたが、開幕前のフランク・ウィリアムズの交通事故が影響し、チームの内部はマンセル派とピケ派に分かれました。この状況は、FW11のパフォーマンスに影響を及ぼし、ドライバー同士の協力が欠如する要因ともなりました。マンセルが自己のチャンピオン獲得を目指したことから、両者の間に緊張が生じてしまったのです。

FW11に関しては、シーズン中にいくつかの技術的な進化もありました。特に、ポルトガルGP以降には新たなターボ用吸入ダクトが導入され、後半戦においてさらなるパフォーマンス向上を見せました。このような革新が実を結び、FW11は当時の最速マシンとして名を馳せました。

1987年にはFW11Bが投入され、さらなる発展を遂げました。新たなレギュレーションに対応するため、ターボエンジンの最大ブースト圧を制限し、加工技術や空力特性の改善が試みられました。FW11Bでは、ネルソン・ピケがアクティブサスペンションを初めて実戦投入し、見事に勝利を収めるなど、ウィリアムズはさらに強固なチームへと成長しました。しかし、シーズン終了後にはピケがチームを離れ、新たな契約をすることとなりました。

FW11は、技術改良や戦略が絡み合うなかで、ウィリアムズ・レーシングの歴史において重要な役割を果たしたマシンであり、その栄光は今日でも多くのファンに語り継がれています。

もう一度検索