ウィリアム・サローヤン

ウィリアム・サローヤンの生涯

ウィリアム・サローヤン（1908年8月31日 - 1981年5月18日）は、アメリカの小説家および劇作家として知られています。彼は、アルメニア系移民の家族に生まれ、カリフォルニア州のフレズノで育ちました。彼の両親はトルコ東部からアメリカに移住し、サローヤンはその末子として誕生しました。彼は幼少の頃、父親を失い、孤児院で数年間を過ごした後、母親に引き取られました。

サローヤンは、学業を途中で止め、12歳のときから電報配達や新聞の販売をしながら生計を立てました。そして、彼は作家としての道を歩み始め、1930年代から短編小説やエッセイを雑誌や新聞に発表するようになります。特に1934年に発表した『空中ブランコに乗った若者』で名を馳せることになります。この作品は、独特の視点と平易な文体で、アメリカの庶民の喜怒哀楽を描写しました。

1938年にブロードウェイで上演された『わが心高原に』や、翌年の『君が人生の時』は特に成功を収め、後者は1940年にピューリッツァー賞を受賞しますが、サローヤンは受賞を辞退しました。それでも、彼は文学界において独自の地位を築き、1941年に発表された『我が名はアラム』は国際的にも高く評価され、日本語にも翻訳されています。

サローヤンはまた、映画のシナリオも執筆しており、1943年に小説『人間喜劇』を発表し、これが映画化されると、1944年にはアカデミー原案賞を受賞しました。このような業績の影響で、彼はアメリカ文学界の重要な作家としての地位を確立しました。

プライベートライフと人間関係

私生活においては、サローヤンは同じく文壇に名を馳せる女優キャロル・グレイスと結婚し、子供を二人もうけました。しかし、彼のギャンブル好きや衝動的な性格が影響し、1949年に離婚しました。その後、1951年に復縁を果たしましたが、再度離婚することとなります。彼の子供たちは母親と共に生活し、サローヤンはカリフォルニアやパリで独り暮らしをしていました。サローヤンの息子アラムは作家として、娘リュシーは女優としてそれぞれ活動し、父親の影響を受けた一族の運命が続いています。

サローヤンの人生は、文学だけでなく、彼にとって周囲の人々との関係においても波乱に富んだものでした。彼は、作品の中で描いているように、庶民の生活には明るい面と暗い面が同居していますが、実生活では必ずしも理想的な家庭人ではなかったことが推測されます。彼は子供たちと一緒に過ごす時間もあったものの、夫や父親としての責任を果たすことができなかったとされています。

死去と遺産

ウィリアム・サローヤンは、1981年に生まれ故郷のフレズノにて前立腺ガンのため他界しました。彼の遺骨はカリフォルニアとアルメニアに埋葬され、彼の作品と人生は今も多くの人々に影響を与えています。サローヤンの作品は、彼自身の経験と感情を色濃く反映したもので、アメリカ文学の中でも際立った存在感を持つ作家として今後も語り継がれていくでしょう。

もう一度検索