ウィリアム・シャーマン

ウィリアム・テカムセ・シャーマン

ウィリアム・テカムセ・シャーマン（William Tecumseh Sherman）は、1820年2月8日にオハイオ州ランカスターで生まれ、1891年2月14日に亡くなったアメリカ合衆国の軍人および戦略論家です。彼のミドルネーム「テカムセ」は、19世紀初頭にアメリカと戦ったショーニー族の酋長に由来しています。

南北戦争における業績

シャーマンは南北戦争中、特に焦土作戦で名を馳せました。この戦術は、敵の経済基盤を壊滅させ、戦争の早期終結を目指したものであり、特にジョージア州アトランタを攻略し、その都市を焼き払った後に行った南部への進軍によって、南部経済を大きく損なったとされます。彼の「海への進軍」は、南部の主要な拠点を迅速に制圧し、北軍の勝利を確実にしました。

また、シャーマンは軍事戦略の観点からも重要な役割を果たし、近代戦の先駆者として評価されています。彼の手法は総力戦の理論を基にしており、戦略的な破壊活動を通じて敵の戦意を削ぎ、勝利へと導きました。彼の作戦は単なる破壊ではなく、目的を持ったものであり、サバナなどの戦略的に重要な都市を効果的に活用しました。

前半生と軍歴

シャーマンは9歳の時に父を失い、アメリカ合衆国上院議員の友人宅で育ちました。16歳でウエストポイントに入学し、1840年に卒業後、砲兵少尉として軍務に就きます。米墨戦争などで経験を積んだ後、1850年に結婚。サンフランシスコで銀行経営を試みますが、失敗に終わり、様々な職を転々としました。

南北戦争が始まると、シャーマンは北軍に参加し、最初は第13歩兵連隊の指揮官として任命されます。彼はその後、数々の戦いで指揮を執り、特に1862年のシャイローの戦いでの活躍が評価されました。グラント将軍との信頼関係を築き、彼との協力は戦争の勝利に大きく寄与しました。

人物像と評価

シャーマンは厳しい戦術家として知られる一方、内面的には嫌戦家であり、戦争の恐ろしさを語った多くの手紙やスピーチを残していました。彼の「War is Hell」という言葉が象徴するように、戦争を否定的に捉える感情が強かったことが、彼の評価の一角を成しています。

また、南北戦争後にはインディアンとの戦争にも関与し、彼の戦略がこの戦争にも影響を与えましたが、彼自身の意図とは裏腹に、戦争の悲惨さを助長する結果となったのも事実です。そのため、彼は戦略家の側面だけでなく、残酷な政策を進めた指導者としても批判されています。

結論

ウィリアム・テカムセ・シャーマンは、南北戦争における重要な軍人であるだけでなく、近代戦略の考案者としてもその名を轟かせた人物です。彼の業績はその戦略的思考と実行に基づき、アメリカ史に大きな影響を与えました。今なお彼の戦略に関する議論は続いており、軍事史の中で忘れてはならない重要な人物です。

もう一度検索