ウィリー・ヘルナンデス

ギレルモ・ヘルナンデス：奇跡の開花を遂げたプエルトリコの英雄

ギレルモ・ヘルナンデス・ビジャヌエバ（Guillermo Hernandez Villanueva）は、1954年11月14日にプエルトリコで生まれ、2023年11月20日に69歳でその生涯を閉じました。彼は、1970年代から1980年代にかけてメジャーリーグで活躍した左腕投手であり、特にデトロイト・タイガースでのクローザーとしての活躍は、野球ファンに強烈な印象を残しました。

躍進の陰にあった苦難の時代

1977年、シカゴ・カブスでメジャーデビューを果たしたヘルナンデスは、初年度から67試合に登板し、8勝7敗4セーブ、防御率3.03という好成績を収めました。当初は中継ぎとして活躍しましたが、1980年には先発に転向。しかし、結果は振るわず、再び中継ぎに戻ることになりました。1981年には故障にも苦しみましたが、1982年には75試合に登板し、10セーブを挙げるなど復活の兆しを見せました。

1983年のシーズン途中には、フィラデルフィア・フィリーズに移籍。ここでは63試合に登板し、8勝4敗7セーブ、防御率3.29という成績を残し、チームのワールドシリーズ進出に貢献しました。ボルチモア・オリオールズとのワールドシリーズでは、7試合中5試合に登板するなど、貴重な戦力として活躍しました。

タイガースでの覚醒、そして栄光の1984年

ヘルナンデスのキャリアを語る上で欠かせないのが、1984年にデトロイト・タイガースに移籍したことです。この年、抑え投手（クローザー）として起用された彼は、それまでの8シーズンでわずか27セーブという成績から一変、目覚ましい活躍を見せました。80試合に登板し、9勝3敗32セーブ、防御率1.92という驚異的な数字を叩き出し、自身初のオールスター出場も果たしました。

33回のセーブ機会で32セーブを成功させるという安定感は、チームの勝利に大きく貢献。唯一の失敗は、チームが地区優勝を決めた後の消化試合でのものでした。この活躍が評価され、ヘルナンデスはア・リーグMVPとサイ・ヤング賞を同時受賞。救援投手によるMVP受賞は、史上3人目の快挙でした。

チームもヘルナンデスの活躍に応え、開幕から40試合で35勝というメジャー記録を樹立。圧倒的な強さで地区優勝を果たし、ア・リーグチャンピオンシップシリーズではカンザスシティ・ロイヤルズを3連勝で下し、ワールドシリーズではサンディエゴ・パドレスを4勝1敗で破り、ワールドチャンピオンに輝きました。

その後と引退

翌1985年、1986年もそれぞれ8勝31セーブ、8勝24セーブを挙げ、3年連続でオールスターに出場するなど、タイガースのクローザーとして不動の地位を築きました。1986年には日米野球にも出場しましたが、その後は成績が下降。1988年には登録名を「ギレルモ・ヘルナンデス」に変更するなど心機一転を図りましたが、かつての輝きを取り戻すことはできませんでした。1989年8月18日にタイガースを解雇され、現役を引退。その後、現役復帰を目指した時期もありましたが、メジャーの舞台に戻ることはありませんでした。

2023年11月20日、フロリダ州セブリングの自宅で息を引き取ったヘルナンデス。彼の名前は、タイガースの黄金時代を支えた英雄として、野球史に深く刻まれています。

記憶に残る背番号

ヘルナンデスがカブス時代につけていた背番号は「38」、フィリーズ時代は「48」、そしてタイガース時代は「21」でした。特にタイガース時代の「21」は、彼の活躍とともに多くのファンの記憶に残っています。

輝かしい功績

サイ・ヤング賞：1回（1984年）
シーズンMVP：1回（1984年）
MLBオールスターゲーム出場：3回（1984年 - 1986年）
ピッチャー・オブ・ザ・マンス：1回（1984年7月）

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