ウィルソンズ・クリークの戦い

ウィルソンズ・クリークの戦い

ウィルソンズ・クリークの戦い（別名：オークヒルズの戦い）は、1861年8月10日にミズーリ州スプリングフィールド近郊で発生した南北戦争の重要な戦いの一つです。この戦いは、ミシシッピ川以西で起きた最初の主要な会戦であり、「西のブルラン」と呼ばれることもあります。

戦闘の背景

南北戦争開戦当初、ミズーリ州は中立を宣言し、どちらの勢力にも加担しない姿勢を示していました。しかし、州内では北軍支持派と南軍支持派の対立が激化し、1861年5月10日のキャンプ・ジャクソン事件をきっかけに、両陣営の緊張が高まりました。この事件で、南軍に同調する民兵が州軍に編成され、北軍のナサニエル・ライアン大尉によって鎮圧されました。その後、ミズーリ州の北軍司令官はライアン将軍に交代し、リンカーン大統領はミズーリ州の軍隊が北軍に従うことを要求しました。これに対して、州知事のクレイボーン・フォックス・ジャクソンは北軍支持を撤回し、両軍の対立が明確になりました。

戦闘の開始

1861年7月、ライアン率いる北軍は約6000人でスプリングフィールドに駐屯しました。一方、南軍はベンジャミン・マカロック准将指揮下、ミズーリ州兵、アーカンソー民兵を含む約12000人でスプリングフィールド南西に集結しました。ライアンは敵を急襲しようと計画し、副司令官フランツ・シーゲル大佐の提案で、北軍は2手に分かれ、挟撃作戦を実行することにしました。8月9日の夜、北軍はスプリングフィールドを出発し、翌朝午前5時頃、ウィルソンズ・クリークで南軍への攻撃を開始しました。

戦闘の経過

ライアン率いる北軍部隊は奇襲を仕掛け、ブラッディヒルと呼ばれる丘の頂上を占拠しました。しかし、南軍の砲兵隊が反撃を開始し、北軍の進撃は阻まれました。一方、シーゲルの部隊は側面攻撃を仕掛け、一時的に南軍の騎兵隊を潰走させましたが、シャープ農園でマカロック部隊の反撃を受け、壊滅しました。この戦闘でライアン将軍は戦死し、サミュエル・D・スタージス少佐が北軍の指揮を引き継ぎました。午前11時までに、北軍は南軍の3度の攻撃を撃退しましたが、弾薬が尽きかけていたため、スタージスはスプリングフィールドへの撤退を命じました。南軍は追撃できる状態ではありませんでした。

戦闘の結果

ウィルソンズ・クリークの戦いは、北軍と南軍の双方に大きな損害をもたらしました。北軍の損害は1317名、南軍の損害は1230名でした。この戦いの結果、南軍はミズーリ州南西部の支配権を確立し、ミズーリ州兵は勢いづき、レキシントンまで北進しました。しかし、ミズーリ州は北軍に留まりました。

戦後の影響

この戦いの後、ミズーリ州は南北戦争を通じてゲリラ戦や山賊行為に悩まされることになりました。戦場跡は現在、ウィルソンズ・クリーク国立戦場跡として保存されており、博物館や戦いの様子を再現した展示などがあります。

戦場跡について

国立公園局は、観光案内所、博物館、映画、戦闘地図、南北戦争研究図書館を一般公開しています。また、兵士の生活、騎兵訓練、マスケット銃の発砲、大砲の実演、当時の薬や衣装を再現した歴史プログラムも定期的に開催されています。1750エーカーの戦場跡は当時のままの姿をほぼ保っており、来訪者は歴史的な雰囲気を体験することができます。南軍の野戦病院として使われた家屋も保存・公開されています。

参考文献

• - Bearss, Edwin C., The Battle of Wilson's Creek, Wilson's Creek National Battlefield Foundation, 1985.
• - Johnson, Robert Underwood, and Buel, Clarence C. (eds.), Battles and Leaders of the Civil War, Century Co., 1884-1888.
• - Long, E.B., with Barbara Long, The Civil War Day by Day; An Almanac 1861-1865, Da Capo Press, Inc., 1971.
• - Moore, John C., Confederate Military History: Missouri in the Civil War
• - National Park Service battle description

外部リンク

Wilson's Creek National Battlefield

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