ウィル・ハリッジ

ウィル・ハリッジ（William Harridge, 1883年10月16日 - 1971年4月9日）は、メジャーリーグのアメリカンリーグにおいて、1931年から1958年までの28年間、第3代会長としてその手腕を発揮しました。イリノイ州シカゴで生まれ、鉄道切符販売人から球界の重鎮へと上り詰めた人物です。

元々、ハリッジは鉄道会社で、アメリカンリーグのチームの移動に関する旅行手配を担当していました。そこで、アメリカンリーグ代表だったバン・ジョンソンにその能力を認められ、1911年に秘書として迎えられたことが、彼がリーグに関わるきっかけとなりました。1927年までジョンソンの秘書を務めた後、1931年にジョンソンの後を継いでリーグ会長に就任したE.S.バーナードが急逝。その後継者としてハリッジが指名され、第3代会長の座につきました。

しかし、就任直後から問題が発生します。当時ヤンキースの捕手だったビル・ディッキーが、本塁でのクロスプレーを巡ってホワイトソックスの外野手カール・レイノルズと乱闘を起こし、レイノルズが顎の骨を折るという事件が起きました。ペナントレースが佳境を迎えていた時期だったこともあり、ハリッジはこの処分に頭を悩ませましたが、最終的にディッキーに対し、1,000ドルの罰金と30日間の出場停止という厳しい処分を下しました。

ハリッジは、会長職にありながらも、自らが表に出ることを好まず、会長室にこもりがちだったと言われています。しかし、その一方で、当時から名アンパイアとして知られていたトム・コナリーをリーグ審判部長に招聘し、ゲームの審判技術の向上に尽力しました。また、1933年から始まったオールスターゲームの設立を提唱するなど、リーグの発展に貢献する様々な取り組みを行いました。当初、ナイトゲームの開催には否定的な立場を取っていましたが、1940年代に入り、観客動員数の増加を目的とするという趣旨を受け入れ、リーグはナイトゲームを積極的に行うようになりました。

1958年、ハリッジはリーグ会長職をジョー・クローニンに譲り、その後は1971年に亡くなるまでリーグの取締役を務めました。没後の1972年には、その功績が認められ、アメリカ野球殿堂に発展貢献者として名を連ねました。現在、アメリカンリーグのリーグチャンピオンシップの優勝トロフィーは、彼の名誉を称え、『ウィル・ハリッジ・トロフィー』と呼ばれています。

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