ウィレム・コルネリスゾーン・ダイスター

ウィレム・コルネリスゾーン・ダイスター（Willem Cornelisz. Duyster, 1599年8月30日洗礼 - 1635年1月31日葬礼）は、17世紀オランダ黄金時代を代表する画家の一人です。アムステルダムで活動し、主に風俗画や肖像画を手がけました。特に、民兵団の兵士たちの日常を描いた作品で知られています。

生涯

ダイスターは、アムステルダムで床屋や大工を営んでいたコルネリス・ディルクスゾーンの息子として生まれました。彼の姓である「ダイスター」は、アムステルダムの自宅に付けられていた通称「De Duystere Werelt」（暗い世界）に由来するとされています。画家としての最初の師は、同時代の画家ピーテル・コッデであったと考えられています。

1631年には、同じく画家であるシモン・キックの姉妹と結婚しました。興味深いことに、シモン・キックもダイスターの姉妹と結婚しており、二組の夫婦は親密な関係にあったことがうかがえます。また、静物画家として知られるコルネリス・キックは、ダイスターの甥にあたります。

ダイスターは、ウィレム・バイテウェッヘ、ディルク・ハルス、ピーテル・コッデ、シモン・キックといった同時代の画家たちと共通のスタイルを持ち、風俗画や肖像画を手がけました。彼らの作品と同様に、ダイスターもまた、民兵団の兵士たちの日常生活を題材とした作品を数多く残しています。

1635年、ダイスターはペストにより35歳という若さでこの世を去りました。その短い生涯にもかかわらず、彼はオランダ黄金時代の美術史において重要な位置を占めています。

作品の特徴

ダイスターの作品は、当時のアムステルダムの市民生活や、民兵たちの様子を生き生きと描いている点が特徴です。彼の風俗画は、当時の服装や生活様式を知る上で貴重な資料となっています。また、肖像画においては、人物の内面を捉えようとする繊細な描写が見られます。

彼の作品には、以下のようなものが挙げられます。

『衛兵のいる室内』
『トランプをする兵士たち』
『隊長と兵士たち』

これらの作品は、いずれもダイスターの卓越した描写力と、当時の社会に対する深い洞察力を示しています。

評価

ダイスターは、その短い生涯にもかかわらず、オランダ黄金時代の美術史において重要な画家として評価されています。彼の作品は、当時の社会風俗を今に伝える貴重な資料であり、美術愛好家や研究者から高い関心を集めています。彼の作品は、現在、世界中の主要な美術館に所蔵されており、多くの人々に感動を与え続けています。

参考文献

Franits, Wayne, Dutch Seventeenth-Century Genre Painting, 2004, Yale UP, ISBN 0300102372
Emil Kren, Daniel Marx, "DUYSTER, Willem Cornelisz.", in The Web Gallery of Art, 2011.
"Duyster, Willem Cornelisz.", in Rijksbureau voor Kunsthistorische Documentatie, 2012.
"Willem Cornelisz Duyster", in Encyclopédie Larousse, 2011.
Mulder, "DUYSTER (Willem Cornelisz)", in Nieuw Nederlandsch Biografisch Woordenboek (NNBW), 2011.

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