ウィンザー公爵エドワード王子の死と葬儀

1972年6月5日、ウィンザー公爵エドワード王子の葬儀が執り行われました。彼はかつてエドワード8世としてイギリス国王の座にありましたが、1936年に退位し、その後はパリで暮らしていました。この葬儀は、彼の生涯と死を悼む厳粛な儀式として行われました。

エドワード王子の生涯と退位

エドワード王子は、1936年1月20日から同年12月11日まで、エドワード8世としてイギリス国王を務めました。しかし、彼はアメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの結婚を望み、王位を退く決断をしました。この退位は、イギリス王室に大きな衝撃を与え、彼の弟であるヨーク公爵アルバート王子が、ジョージ6世として王位を継承しました。その後、1952年にジョージ6世が亡くなると、その長女であるエリザベス2世が女王となりました。

死と葬儀の準備

エドワード王子は、1972年5月28日にパリで亡くなりました。長年のヘビースモーカーであった彼は、頭頸部癌に苦しんでいました。彼の死の10日前、エリザベス2世はパリを訪れ、エドワード王子を見舞いました。エドワード王子の遺体はイギリスに空輸され、ベンソン空軍基地に到着後、ウィンザー城のアルバート記念礼拝堂に安置されました。その後、ウェルシュ・ガードの兵士によってセントジョージ礼拝堂に移され、3日間一般公開されました。

葬儀の様子

セントジョージ礼拝堂での一般公開では、エドワード王子の棺は身廊の中心に置かれた青い絨毯の棺台の上に安置されました。棺の四隅には巨大な燭台が置かれ、両端には十字架が立てられました。棺には王室旗がかけられ、その上には未亡人ウォリス夫人が捧げた白いテッポウユリの十字架が飾られました。棺が安置された礼拝堂は、数千人の弔問客で埋め尽くされました。キャッスル・ヒルまで続く弔問客の列に対応するため、ホーム・パークには臨時の駐車場が設けられました。

未亡人ウォリス夫人

エドワード王子の未亡人であるウォリス夫人は、葬儀のためにイギリスを訪問し、バッキンガム宮殿に滞在しました。彼女は動脈硬化症による精神的な不安定さを抱えており、また、エドワード王子の退位が原因で夫ジョージ6世の負担が増したと長年彼女に反感を抱いていたエリザベス王太后との面会に不安を感じていました。しかし、マウントバッテン卿が「あなたの義妹はあなたを温かく迎え入れるでしょう。彼女は今、夫を亡くした時のことを思い出し、悲しみに沈むあなたに深く同情しています」と諭しました。最終的にエリザベス王太后がウォリス夫人に会ったのは、葬儀当日だけでした。

埋葬

エドワード王子の遺体は、葬儀後、フロッグモアの王室墓地に埋葬されました。1986年に亡くなったウォリス夫人も、彼の傍らに埋葬されました。この場所は、かつてのイギリス国王とその妻が永遠の眠りにつく場所となりました。

この葬儀は、エドワード王子の波乱に満ちた生涯と、彼を悼む多くの人々によって記憶されることとなりました。

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