ウェスティングハウス J30

ウェスティングハウス J30 ターボジェットエンジン

ウェスティングハウス J30（初名：ウェスティングハウス 19XB）は、アメリカ合衆国で初めて独自に設計されたターボジェットエンジンです。このエンジンは、ドイツ以外では世界で2番目に主流となっている軸流式圧縮機を備えています。1940年代の航空機エンジンの技術革新において、非常に重要な役割を果たしました。

構造と性能

J30は、シンプルで堅牢な設計を特徴とし、以下の主要な構成要素で成り立っています。

• - 圧縮機: 6段の軸流式圧縮機が使用されており、高効率で空気を圧縮します。
• - 燃焼器: アニュラ型（ドーナツ型）燃焼器が搭載されており、燃焼効率の向上に寄与しています。
• - タービン: 単段の軸流式タービンが組み込まれています。これにより、推力を生み出せます。

当初の推力は1,200 lbf（約5,345 N）でしたが、後に改良されて量産段階では1,600 lbf（約7,112 N）に増強されました。初の飛行は1944年1月、FG コルセアに懸架された形で行われました。その後も改良が重ねられ、J32とJ34という派生型も開発され、これらは3,000 lbf（約13,345 N）の推力を達成しました。

派生型の紹介

J30には複数の派生型が存在し、特に注目すべきモデルを以下に示します。

• - 19A: 試作機で、先行量産型でもあります。
• - 19B: 流量が増強され、海面高度で1,400 lbf（約6,23 kN）を発生。
• - J30-WE-20: 量産型で、推力は1,600 lbf（約7,1 kN）です。

このエンジンは以下の搭載機に使用されました。

• - コンベア XF-92
• - マクドネル FH ファントム
• - ノースロップ XP-79
• - ノースロップ X-4 Bantam

技術仕様

ウェスティングハウス 19Aの一般的な仕様は以下の通りです。

• - 形式: 軸流式ターボジェットエンジン
• - 全長: 100 in（およそ 2,540 mm）、19Bは104.5 in（およそ 2,654 mm）
• - 直径: 19 in（約 482.6 mm）
• - 乾燥重量: 830 lb（約 376.5 kg）、19Bは809 lb（約 367.0 kg）

性能に関する詳細

エンジンの特性として、以下の点が挙げられます。

• - 推力: 海面高度で1,360 lbf（約 6.05 kN）、19Bは1,400 lbf（約 6.23 kN）です。
• - 全圧縮比: 3:1
• - 空気流量: 26.5 lb/s（約 12.02 kg/s）、19Bは30 lb/s（約 13.61 kg/s）
• - ミリタリー推力: 高空660 lbf（約 2.94 kN）、19Bは525 lbf（約 2.34 kN）

結論

ウェスティングハウス J30は、その技術的革新と性能により、航空用エンジンの歴史において重要な地位を築きました。このエンジンの開発は、空軍機の推力を大幅に向上させ、高速化や機動性の向上に貢献しました。

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