ウェブスター＝アッシュバートン条約

ウェブスター＝アッシュバートン条約

ウェブスター＝アッシュバートン条約は、1842年8月9日にアメリカ合衆国とイギリスの間で調印された重要な国際条約です。この条約は、特にメイン州と当時のイギリス植民地であるニューブランズウィック州との間の国境に関する紛争を解決するために成立しました。

国境線の確定

この条約の主な内容には、1783年のパリ条約で定められたスペリオル湖とウッズ湖における国境の詳細な確定が含まれています。また、1818年における二国間の条約で決められた東海岸から西のロッキー山脈までの国境線が、北緯49度線であることを再確認しました。これにより、明確な国境が定められ、両国の緊張が和らげられました。

さらに、条約は公海での奴隷貿易の廃止に向けての協力を約束し、五大湖の共有に関する条項にも合意しました。これらの合意は、両国が共通の利益や倫理的な立場を持っていることを示すものであり、国際社会におけるその後の動向にも影響を与えました。

署名者と記念

この重要な条約は、アメリカ合衆国国務長官のダニエル・ウェブスターとイギリス枢密顧問官の初代アッシュバートン男爵アレクサンダー・ベアリングによって署名されました。条約の調印を記念して、ワシントンD.C.にある旧国務省跡に額が設置されました。

地理的な問題とその解決

ところが、条約の結果、予想外の地理的問題が生じました。アメリカのフォート・モンゴメリーがカナダの国土、つまりニューヨーク州北東部に存在したため、国境線が調整されました。これにより、ニューヨーク州とカナダの間の国境がセントローレンス川から東のバーモント州にかけて0.75マイル北にずれ、フォート・モンゴメリーがアメリカの領土内となるように修正されました。

この条約はまた、メイン州とニューブランズウィック州の間で発生していた小規模な衝突、いわゆる「木こり戦争」を終息させる契機となりました。また、キャロライン号事件やインディアン・ストリーム紛争に関連した諸問題も解決されました。係争地の領土を二国で平等に分割し、新たな国境線が決定されました。

結果と影響

イギリスは、ハリファックスからケベックへの交通ルートの獲得を望んでいましたが、最終的にはこの条約によってアメリカとカナダの国境の一貫性が保たれました。アメリカ合衆国は、国境線のわずかな進展により北の土地を獲得しましたが、クレオール号事件に関しては条約で触れられませんでした。

ただし、この条約には一つの明らかな敗者が存在しました。それは、元々その地域に住んでいた先住民族ブラヨンに他なりません。彼らはメイン州とニューブランズウィック州の間で土地が分断され、民族的アイデンティティも二つの国に分けられてしまいました。

このように、ウェブスター＝アッシュバートン条約は、米英関係や北米の国境問題において重要な役割を果たしましたが、同時に地域住民に対しては複雑な影響を及ぼしました。

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