Weblogs, Inc.: ブログ革命の先駆者
Weblogs, Inc.は、かつて
アメリカ合衆国で存在したオンラインメディア企業です。現在では
AOLの一部門として、
Engadgetをはじめとする複数の影響力のあるメディアブランドを傘下に収める大規模な
ブログネットワークを形成しています。その成功は、インターネット黎明期における大胆なビジネスモデルと、質の高いコンテンツ提供によるものです。
起業から成功へ
創設者ジェイソン・カラカニスは、1990年代後半、IT業界専門誌を創刊した経験を持ちます。インターネットバブル崩壊後、彼は新たな可能性を見出しました。
2003年、ブライアン・アルベイと共に、マーク・キューバンの投資を受けてWeblogs, Inc.を設立。プロのブロガーを採用し、専門性の高い
ブログを複数展開するという、当時としては画期的なビジネスモデルを打ち立てました。
このモデルは、趣味の延長線上だった
ブログを、本格的なメディアへと変貌させるものでした。多くの関係者は懐疑的でしたが、Weblogs, Inc.は見事に成功を収め、
ブログパブリッシャーという新しいビジネスジャンルを確立しました。
Weblogs, Inc.の成功を象徴するのが、
2004年に設立された
Engadgetです。ガジェット専門
ブログとして、たちまち人気を博し、
2004年と
2005年には「Best Tech Blog賞」を受賞しました。ピーター・ロハスによる執筆も成功の大きな要因の一つでした。
Engadget以外にも、Autoblog(自動車)、Joystiq(ビデオゲーム)、TV Squad(テレビ番組)など、様々な分野を網羅した専門
ブログを展開。
2005年には100名以上のブロガーが、85ものカテゴリーの
ブログを運営するまでに成長しました。月間ユニークビジター170万人、月間ページビュー650万という驚異的な数字を達成し、年間収益は600万ドルに達しました。同年、日本語版
Engadgetもローンチされています。
AOLによる買収と更なる発展
急成長を続けるWeblogs, Inc.に目をつけたのが、
ポータルサイト大手
AOLでした。当時、アメリカのインターネット広告市場は急成長期にあり、
AOLはWeblogs, Inc.の高品質なコンテンツと巨大なネットワークに大きな価値を見出しました。
2005年10月、
AOLはWeblogs, Inc.を2500万ドルで買収し、
AOL.comに統合しました。
買収後もWeblogs, Inc.は成長を続けました。カラカニスは
2006年に退職しましたが、世界進出を果たし、
2008年には月間ユニークビジター3200万人、月間ページビュー1億8700万を記録、年間収益は3000万ドルにまで達しました。これは、世界的な金融危機下での快挙と言えます。
Weblogs, Inc.が築いたもの
Weblogs, Inc.は、単なる
ブログネットワークではありませんでした。プロフェッショナルなブロガーによる質の高いコンテンツ、多様な専門分野を網羅した
ブログ群、そして革新的なビジネスモデルによって、インターネットメディアのあり方を変革しました。その功績は、現在の
ブログ文化にも大きな影響を与え続けています。
Engadget (ガジェット)
Joystiq (ビデオゲーム)
TV Squad (テレビ番組)
Luxist (高級ファッション)
TUAW (アップルコンピュータ)
Download Squad (ソフトウェア)
Autoblog (自動車)
BloggingStocks (金融)
Weblogs, Inc.の歴史は、インターネットメディアの進化の歴史そのものです。彼らの成功は、質の高いコンテンツと革新的なビジネスモデルの融合が、いかに大きな成果を生み出すかを示す好例と言えるでしょう。