ウェルド:ライブ・イン・ザ・フリー・ワールド

『ウェルド:ライブ・イン・ザ・フリー・ワールド』は、1991年にリリースされたニール・ヤングとクレイジー・ホースのライブアルバムです。このアルバムは、アルバム『傷だらけの栄光』のプロモーション・ツアーでのパフォーマンスを収録しており、臨場感あふれるサウンドを体験することができます。

当初、この作品は『アーク＝ウェルド』というタイトルで3枚組の限定盤としてリリースされました。特に『アーク』部分は、ギターのノイズやフィードバックを使ったサウンド・コラージュから成っており、非常に実験的な要素が際立っていました。その後、『アーク』は別々の作品としてリリースされましたが、『ウェルド』自体はニール・ヤングとクレイジー・ホースによるストレートなロックンロールのアルバムとして広く知られています。

アルバムの中には、ボブ・ディランの名曲「風に吹かれて」に対するヤングの解釈も収められています。このバージョンでは、湾岸戦争をテーマにした効果音が組み込まれています。このツアーは湾岸戦争と重なり、その影響がバンドの演奏スタイルにも現れました。ヤングはセットリストに「Cortez the Killer」や「Powderfinger」といった、暴力を扱った曲を加えることになりました。また、1991年11月には『ローリング・ストーン』誌でのインタビューにおいて、ヤング自身がその思いを語っています。

音楽の面では、ヤングのアプローチはその後の約10年間で多様化しましたが、クレイジー・ホースとの『傷だらけの栄光』を通じて、彼は原点回帰を果たしました。ライブアルバムとしての『ウェルド』は、彼の復帰を祝う重要な作品となり、コンサート・フィルムとともに、ヤングの音楽的変遷を記録しています。

アルバムの録音はデヴィッド・ヒューイットによって行われ、彼の技術により、会場の熱気を生かした音質が実現されました。しかし、ヤングはこのアルバムのミキシング中に聴覚に影響を受けたとも語っています。このコンサートの映像は短期間VHSとレーザーディスクでリリースされたほか、2009年にはデジタル形式で再リリースされています。伝記作家のジミー・マクドナーは、この映像のミックスは彼の長年のコラボレーターであるデヴィッド・ブリッグスによるもので、力強いサウンドが特徴だと分析しています。

収録曲

Disc One
1. Hey Hey, My My (Into the Black) – 5:42
2. Crime in the City – 6:32
3. Blowin' in the Wind (Bob Dylan) – 6:49
4. Welfare Mothers – 7:04
5. Love to Burn – 10:01
6. Cinnamon Girl – 4:45
7. Mansion on the Hill – 6:14
8. Fuckin' Up – 7:09

Disc Two
1. Cortez the Killer – 9:46
2. Powderfinger – 5:58
3. Love and Only Love – 9:17
4. Rockin' in the Free World – 9:22
5. Like a Hurricane – 14:00
6. Farmer John (Don Harris, Dewey Terry) – 5:00
7. Tonight's the Night – 8:45
8. Roll Another Number – 5:19

このアルバムには、ニール・ヤングのエネルギッシュなパフォーマンスの真髄が詰まっており、時代を超えた魅力を持ち続けています。音楽ファンにとって、必聴の一枚と言えるでしょう。

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