ウエスタン (映画)

映画『ウエスタン』の概要

『ウエスタン』（原題：C'era una volta il West、英語題：Once Upon a Time in the West）は、1968年に公開された西部劇映画で、イタリアの映画監督セルジオ・レオーネが手掛けた作品です。本作は、ハリウッドの西部劇ジャンルの枠を超え、黄昏の時代を迎えたアメリカ開拓時代の人間模様を描写する群像劇となっています。レオーネはかつての「ドル箱三部作」から新しいテーマを求め、最終的にこの作品を制作しました。

作品の背景

レオーネは『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン』などの人気作品を作った後、もはや西部劇にはやり尽くしたと感じていました。続いて彼は、禁酒法時代のユダヤ人ギャングの物語を撮ろうとしましたが、ハリウッド側からは古典的なマカロニ・ウェスタンの制作を求められていました。最終的にパラマウント映画からのヘンリー・フォンダ出演のオファーを受けることが決まりました。レオーネは長年の友人であり、尊敬する俳優であるフォンダと共演することに魅力を感じたと言われています。

ストーリーの概要

物語は、アリゾナ州の駅から始まります。ここへは三人の賊が待ち構えていましたが、ハーモニカを吹くガンマンによって彼らは早撃ちで倒されます。舞台はスィートウォーターという地域に移り、開拓者ブレット・マクベインが亡き妻の後を継ぐために養女のジルを迎え入れようとしている矢先、冷酷無比な剣士フランクによって一家は皆殺しにされてしまいます。ジルはその一味への復讐と自身の生き残りを決意し、物語が展開します。

主要キャラクター

• - ハーモニカ：無口なガンマンで、復讐のために立ち向かう。
• - フランク：冷酷なガンマンで、開拓者の一家を襲撃する悪役。
• - ジル：未亡人であり、妻の地位を奪われた女性。
• - シャイアン：賞金首で、復讐を求めるジルと協力関係になる。

彼らの行動が土地を巡る壮大な利権争いに巻き込まれていく様子が描かれています。

テーマとスタイル

『ウエスタン』は、レオーネの後期作品「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」の第一作目であり、彼独自の視点から西部開拓時代を描いています。本作では、男性中心の物語とは異なり、女性を中心に置くことで、当時の西部劇に新たな風を吹き込んでいます。特に、クラウディア・カルディナーレが演じるジルは、従来の脆弱な女性像とは一線を画し、自立した人物像として描かれています。

音楽と撮影技術

エンニオ・モリコーネによる音楽が印象的な作品であり、撮影前に楽曲を作曲するというアプローチが採られました。これにより、レオーネのビジョンがより緻密に映画に反映されています。

評価と影響

本作は公開当初、アメリカでの反響は薄かったものの、ヨーロッパや日本では大ヒットしました。映画はアメリカ映画の歴史の中でも名作として知られるようになり、2005年には『TIME』誌によって映画ベスト100に選出されるなど、国際的な評価を受けることとなりました。演じたヘンリー・フォンダにとっても、彼の俳優としての新たな方向性を示す役割となりました。

『ウエスタン』は、ただの娯楽映画を超え、深いテーマ性とキャラクターの内面を掘り下げた名作として、今なお多くの人々に愛されています。

もう一度検索