ウォーザード

『ウォーザード』

『ウォーザード』は、カプコンが開発し1996年12月12日にアーケードで稼働を開始した2D対戦格闘ゲームです。同社がCPS-3システム基板を採用した第一弾タイトルであり、国外では『レッドアース』のタイトルでリリースされました。一般的な格闘ゲームとは一線を画し、ファンタジー色の強い世界観とキャラクターの成長要素を組み込んだ独自のシステムが特徴です。

ゲームシステム

本作の根幹をなすのは、プレイヤーキャラクターの成長システムです。CPU戦をクリアしたり、対人戦で勝利したりすることで経験値を獲得し、これが一定値に達するとレベルアップします。レベルが上がると、キャラクターの攻撃力や防御力が向上するほか、新たな必殺技を習得したり、特定の属性攻撃に対する耐性が増したりといった恩恵が得られます。特に、2P対戦で得られるバーザスポイントは、特定の技や武器の習得条件に関わる重要な要素です。ゲームオーバー時にはパスワードが表示され、これを入力することで次回プレイ時に育成したキャラクターのレベルや習得状況を引き継いでプレイを続けることができます。これは、アーケードゲームとしては珍しい、継続的なプレイを促すシステムでした。

バトルシステムは、同社の『ヴァンパイア』シリーズに近い要素を持ちつつ、独自のシステムも搭載しています。

ラウンド形式: CPU戦は1ラウンド、対人戦は2ラウンド先取で行われます。
移動: 通常の移動に加え、高く跳躍できるハイジャンプや、素早く前後へ移動するダッシュ（フロントステップ・バックステップ）が可能です。
追撃: 相手がダウンしている状態にも攻撃できるダウン追撃システムがあります。
ガード: 連続してガードし続けるとガードが破られる「ガードクラッシュ」や、必殺技の削りダメージとガードクラッシュを無効化する「アルティメットガード」、そこから派生して反撃する「アルティメットカウンター」といった攻防一体のシステムが存在します。
アイテム: ステージ中に配置された宝箱からは、体力回復アイテムのフード、経験値やスコアに影響するメダル、そして超必殺技や魔法の発動に必要なオーブが出現します。オーブには6種類の属性があり、特定の属性オーブを消費して発動する「ミスティックマジック」では、属性に応じた個性的な聖霊を呼び出して攻撃を行います（例：黒/星属性で巨神ギアメテウスを呼び出し隕石を降らせる）。

エンディングは、コンティニュー回数や特定の条件によってキャラクターごとに異なる結末が用意されており、リプレイ性を高めています。

登場キャラクター

本作には個性豊かなプレイヤーキャラクター4名と、手強いCPU専用の敵キャラクターたちが登場します。プレイヤーキャラクターはそれぞれ異なる戦闘スタイルと背景を持っています。

レオ: ライオンの呪いをかけられた元国王。リーチの長い剣攻撃と投げ技を得意とします。レベルアップで武器グラフィックが変化する特徴を持ちます。
ムクロ: ジパング出身の忍者。素早い動きと多彩な武器（刀、鎖鎌、苦無、大砲）を駆使します。分身技「蜻蛉」などが特徴的です。
タオ: 戦闘国家ゴラの精鋭部隊員である少女。武闘派で、足甲の火炎輪や空中ダッシュなど、アグレッシブな技を持ちます。
* タバサ: 北方の天才魔学者。オーブを使った魔法や、使い魔（猫のアルとイブンなど）を使役する遠距離攻撃主体で戦います。

CPU専用キャラクターには、巨大なドラゴン「ハウザー」、日本の伝承にあるような鬼「金剛」、キメラのような神獣「セクメト」、巨大なクラーケン「ヌール」などが登場します。これらのキャラクターは、後にカプコンの他のクロスオーバー作品にもゲストとして登場することがあります。特にハウザーとヌールは『CAPCOM FIGHTING Jam』でプレイヤーキャラクターとして参戦しました。ストーリーの進行に応じて、ヴァルドール帝国の鎧武者「ブレイド」が中ボスとして、そして真の魔道知識を求め変貌した「ヴァルドール」が最終ボスとしてプレイヤーの前に立ちはだかります。

家庭用移植と客演

長らくアーケード版のみの稼働でしたが、2022年6月24日に発売された『カプコン ファイティング コレクション』に収録され、これが本作初の家庭用移植となりました。これにより、現代のゲーム機で手軽に本作をプレイすることが可能になりました。

また、本作のキャラクターたちはカプコンが制作する様々なクロスオーバー作品にゲスト出演しています。『ポケットファイター』『CAPCOM VS. SNK』シリーズ、『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』『CAPCOM FIGHTING Jam』といった格闘ゲームはもちろん、『モンスターハンター』シリーズではブレイドの武器が武器グラフィックとして登場したり、タバサやタオのコスチュームが登場したりしています。

独自の成長システムとファンタジー世界観、個性的なキャラクターで、アーケードゲーム史においてユニークな存在感を放つタイトルです。

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