ウォーターラインシリーズとは？意味をやさしく解説

ウォーターラインシリーズとは

ウォーターラインシリーズは、1/700スケールで艦船の喫水線から上のみを再現したプラモデルのシリーズです。このシリーズは、静岡模型教材協同組合に所属するタミヤ、青島文化教材社（アオシマ）、ハセガワの3社が共同で開発・販売を行っています。喫水線から下を省略することで、水面に浮かんでいる艦船の姿を手軽に再現できるのが最大の特徴です。1971年の発足当初は、第二次世界大戦時の日本海軍艦艇を中心に製品化が進められましたが、後に外国艦艇や客船もラインナップに加わりました。

シリーズの特徴

- 1/700スケール: 当時、艦船模型に国際的な標準スケールは存在しませんでしたが、本シリーズの充実によって1/700スケールが事実上の国際標準となりました。このスケールは、国内外で多くの艦船モデルが発売されるきっかけとなりました。
- 喫水線から上の再現: 喫水線から下を省略することで、艦船が水面に浮かんでいる姿をリアルに再現できます。これは、ジオラマ製作にも活用されています。
- 幅広いラインナップ: 第二次世界大戦時の日本海軍艦艇を皮切りに、外国艦艇や客船、海上自衛隊の艦艇まで、幅広い艦船がモデル化されています。
- 価格帯の変化: シリーズ初期は比較的安価な価格帯でしたが、原材料費の高騰などにより価格は上昇しています。しかし、その分、キットのディテールや精密さは向上しています。
- 多様なユーザー層: 小学生から高齢者まで、幅広い層に親しまれています。また、歴史に基づいたジオラマ作成にも利用され、博物館に展示されることもあります。

歴史

ウォーターラインシリーズは、1971年にタミヤの社長であった田宮俊作氏の提案により、静岡模型教材協同組合に所属する4社（タミヤ、青島文化教材社、ハセガワ、フジミ模型）の合同企画としてスタートしました。各社が製品化を担当する艦はくじ引きで決められましたが、大和型戦艦は提案者特権としてタミヤが担当したとされています。

初期は旧日本海軍艦艇の製品化が中心でしたが、1974年には外国艦艇の製品化も開始されました。しかし、外国艦艇の売り上げは伸び悩み、1976年頃にはシリーズは事実上の休止状態となりました。

1979年にシリーズの再出発が図られましたが、実際に発売されたのは企画された艦艇の半数程度にとどまりました。1980年代には散発的に新製品が発売されましたが、後半には全く新製品は発売されなくなりました。

1992年にフジミ模型が静岡模型教材協同組合から脱退し、自社担当分のキットもウォーターラインシリーズから引き揚げました。残った3社はフジミ担当分の欠落を補うために新製品の発売を再開し、旧製品のリニューアルも行いました。このリニューアルは好評で、新たな需要を掘り起こしました。その後も、初期製品のリメイクや海上自衛隊艦艇などの製品化が続けられています。

2000年代後半以降は、アオシマが積極的に新製品の開発を行っており、シリーズの牽引役となっています。2010年代には、艦船擬人化ブラウザゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』の人気に便乗し、製品化されるケースも見られます。2023年には、タミヤから久しぶりに護衛艦もがみが発売されました。

派生商品

アオシマからは、2013年より一部の艦について、『艦隊これくしょん -艦これ-』に登場する「艦娘」を描いたパッケージや、艦娘のカード、シール、エッチングプレートなどを追加したバージョンが発売されています。これらの商品は、元ネタとなった艦のメーカーに関わらず、アオシマ製品として扱われています。一部の製品は、他社のキットを流用したもので、その場合はパッケージにコラボ製品であることが明記されています。

まとめ

ウォーターラインシリーズは、長年にわたり多くのファンに愛されてきたプラモデルシリーズです。1/700スケールという統一された規格のもと、様々な艦船を手軽にコレクションできるのが魅力です。初期の製品から最新の製品まで、その歴史と進化を辿るのも、このシリーズの楽しみ方の一つと言えるでしょう。

参考文献

- 大日本絵画『モデルグラフィックス』2003年4月号 No.221 巻頭特集・1/700洋上模型の今昔物語ウォーターライン進化論
- 衣島尚一「連合艦隊編成講座 300回連載回顧録 1978〜2003」『モデルアート』2003年8月号、No.638、モデルアート社、p.18–25

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