ウォード・カニンガム

ハワード・ウォード・カニンガム（Howard G. "Ward" Cunningham、1949年5月26日生まれ）は、コンピュータプログラマーとして、特に世界初のウィキを開発したことで広く知られています。彼は、デザインパターンとエクストリームプログラミングのパイオニアでもあり、アジャイルソフトウェア開発の分野における重要な人物です。

1994年、カニンガムは「WikiWikiWeb」の開発に着手し、1995年3月25日に自身のソフトウェアコンサルタント会社であるCunningham & Cunninghamのウェブサイト（c2.comとしても知られる）に、Portland Pattern Repositoryのアドオンとして実装しました。この出来事は、ウィキの概念を世界に広める重要な一歩となりました。また、彼はアジャイルマニフェストの署名者の一人でもあり、アジャイル開発の普及に尽力しました。

カニンガムはオレゴン州ビーバートン在住で、現在はNew Relicのプログラマーとして活躍しています。過去には、CitizenGlobalでCo-Creation Czarを務め、ナイキのCode for a Better World Fellowとしても活動していました。彼のキャリアは、技術的な貢献だけでなく、社会的な影響も含む多岐にわたります。

カニンガムは、ウィキに関する書籍「The Wiki Way」を執筆し、テストフレームワーク「Framework for Integrated Tests」の開発にも携わりました。彼はまた、ウィキの研究と実践に関する国際会議WikiSymで、初めの3回で基調講演を行い、2017年のWikimedia Developer Summitでも基調講演を務めました。これらの活動を通じて、彼はウィキの発展と普及に大きく貢献しました。

WikiWikiの誕生

カニンガムは、共同で文章を編集するツールと概念である「WikiWiki」の創始者です。「WikiWiki」はハワイ語で「速い、速い」という意味で、彼がホノルル国際空港で利用した「ウィキウィキシャトル」にちなんで名付けられました。1995年に開設された最初のウィキサイト「Portland Pattern Repository」は、インターネットにおける共同編集の先駆けとなりました。このシステムは、技術者だけでなく、一般のユーザーにも広く利用されるようになり、知識共有と共同作業の新たな地平を切り開きました。

エクストリームプログラミング

カニンガムは、アジャイルソフトウェア開発方法論の一つである「エクストリームプログラミング」の提唱者の一人でもあります。エクストリームプログラミングは、変化への迅速な対応、顧客との密接な協力、シンプルな設計、継続的なテストなどを重視する開発手法です。このアプローチは、ソフトウェア開発の効率と品質を向上させるための重要な手段として、多くの開発現場で採用されています。

その他の活動

2003年12月からは、マイクロソフトのパターン&プラクティスグループでアーキテクトを務め、2005年10月には退社しました。その後、Eclipse財団のコミッターコミュニティ開発ディレクターに就任しました。彼は、技術的なリーダーシップを発揮し、様々なオープンソースプロジェクトの発展に貢献しました。また、ボウ・ルーフとの共著で「Wiki Way―コラボレーションツールWiki」を出版し、ウィキの普及と理解に貢献しました。

カニンガムの革新的な貢献は、ソフトウェア開発と共同作業の分野に大きな影響を与えており、彼の業績は今後も長く語り継がれるでしょう。

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