ウォーレン・ジャイルズ

ウォーレン・ジャイルズ：ナショナルリーグの発展に貢献した球団経営者

ウォーレン・ジャイルズ（Warren Crandall Giles）は、1896年イリノイ州チスキルワで生まれ、1979年に82歳で亡くなった人物です。彼は、MLB（メジャーリーグベースボール）のナショナルリーグ（ナリーグ）において、第12代会長を務めました。彼の在任期間中である1950年代から1960年代にかけて、ナリーグは大胆な球団拡張を推し進め、球界の勢力図を大きく塗り替えました。

球団経営者としてのキャリア

第一次世界大戦に従軍後、ジャイルズは故郷のイリノイ州に戻り、地元球団の代表に就任。以降、球団経営の世界に足を踏み入れます。セントルイス・カージナルスのファーム組織で手腕を振るった後、1937年にはシンシナティ・レッズのゼネラルマネージャーに就任。レッズは1939年と1940年にナリーグを制覇し、ジャイルズは1951年まで球団経営に携わりました。

1951年にはMLBコミッショナーの候補に挙がりましたが、投票でフォード・フリックに及ばず落選。その後、第12代ナリーグ会長に就任し、1969年までその職を務めました。

ナショナルリーグ会長としての功績

ジャイルズの会長在任中、ナリーグは大胆な球団拡張を推し進めました。ボストン・ブレーブスがミルウォーキー、そしてアトランタへと移転。ニューヨーク・ジャイアンツとブルックリン・ドジャーズがそれぞれサンフランシスコ、ロサンゼルスへと移転するなど、東海岸の老舗球団が相次いでフランチャイズを移転しました。また、ニューヨーク・メッツ、ヒューストン・アストロズ、サンディエゴ・パドレス、モントリオール・エクスポズといった新たな球団がナリーグに加盟し、各地には新たな球場が次々と建設されました。

これらの球団移転について、ジャイルズは「もうニューヨークは必要ないだろ？」という発言を残しており、物議を醸しました。

また、当時徐々に進んでいたアフリカ系アメリカ人選手のリーグ参加には寛容な姿勢を示し、1950年代にアメリカンリーグ（アリーグ）の一部球団がアフリカ系アメリカ人選手の登録に消極的だった時期に、ナリーグは積極的に受け入れました。オールスターゲームの際には、ナリーグの選手たちにリーグの誇りを持って試合に臨むよう訓示していたそうです。

死後も語り継がれる功績

1969年にナリーグ会長を退任後、1979年に82歳で亡くなったジャイルズ。同年、アメリカ野球殿堂入りを果たしました。彼の功績を称え、現在のナリーグ優勝決定戦の優勝トロフィーは「ウォーレン・ジャイルズ・トロフィー」と呼ばれています。

ウォーレン・ジャイルズは、大胆な球団拡張とアフリカ系アメリカ人選手の受け入れを推進し、ナリーグの発展に大きく貢献した人物として、野球史に名を刻んでいます。

関連項目

シンシナティ・レッズ
フォード・フリック

もう一度検索