ウクライナ保安庁

ウクライナ保安庁（SBU）について

ウクライナ保安庁（ウクライナ語: Слу́жба безпе́ки Украї́ни、略称: СБУ）は、ウクライナの法執行機関であり、ソ連時代の国家保安委員会（KGB）の後継組織です。1991年の設立以来、ウクライナの安全保障において重要な役割を果たしてきました。

沿革

1991年9月20日、ウクライナ最高会議はウクライナ国家保安庁の創設を決定し、ソビエト連邦時代のウクライナ・ソビエト社会主義共和国国家保安委員会を廃止しました。1992年3月25日には、ウクライナ保安庁に関する法律が採択され、正式に発足しました。

ロシア連邦ではKGBが機能別に分割されたのに対し、ウクライナ保安庁は旧KGBの機能をほぼ継承しました。このため、強力な権限を持ち、ウクライナの政治に介入したり、逆に政治家に利用されたりする事例が頻繁に見られました。そのため、権限縮小の議論が常に行われてきました。2004年には対外諜報機能がウクライナ対外情報庁に移管され、2006年には通信傍受・保全機能がウクライナ国家特殊通信庁に移管されました。

2005年9月時点で、SBU庁舎は首都キーウの中心部、独立広場から徒歩10分ほどの場所に位置しています。かつてのKGBのような近寄りがたいイメージとは異なり、人通りの多い通りに面しているため、誰でも簡単に近づくことができます。周辺には歴史的な建造物やホテルがあり、多くの人々が行き交っています。

ロシアによるウクライナ侵攻

2022年、ロシアによるウクライナ侵攻が開始されると、SBUは積極的に情報戦を展開し、ロシア軍の通信傍受動画などをYouTubeで公開しました。また、ロシアの著名人や軍人の暗殺に関与したとの主張や、ロシア側のスパイ摘発も行っています。

批判

2022年3月16日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、SBUとウクライナ内務省がSNS上でロシア兵捕虜の個人情報が特定できる画像や動画を公開したことを批判しました。これはジュネーブ諸条約に違反する行為であり、中止すべきだと主張しました。

一方、ロシア兵士の母の委員会連合の事務局長は、これらの情報公開は兵士の家族にとって重要な情報源であると述べています。ロシア政府が捕虜に関する情報を公開しないため、家族はSBUが公開する情報からしか安否を確認できない状況です。

組織

SBUは以下のような組織で構成されています。

情報保障・捜査勤務活動統制部
防諜部
国家経済防諜防護部
国家情報防諜部
国家制度擁護・テロリズム対策部
特殊遠距離通信・情報保護部
捜査勤務活動保障部
分析・予測総局
汚職・組織犯罪対策総局
国家秘密保護局
人員業務局
内査局
法務保障総局
取調局
科学技術局
SBU国家公文書庫
軍事医療局
ウクライナ保安庁附属対テロリズム・センター
アルファ部隊
ウクライナ保安庁国立アカデミー
ウクライナ保安庁中央病院

これらの他に、各州、直轄市、自治共和国に支局があります。

歴代長官

ウクライナ保安庁長官は、ウクライナ国家安全保障・国防会議の常任議員であり、大統領の提案に基づいて最高会議（国会）の決議によって任免されます。

関連事項

ウクライナ対外情報庁
ウクライナ国家警護局
ロシア連邦保安庁
ソ連国家保安委員会

外部リンク

公式ウェブサイト（ウクライナ語）（英語）
ウクライナ保安庁 - YouTubeチャンネル
ウクライナ保安庁 (@ServiceSsu) - X（旧Twitter）
ウクライナ保安庁 (SecurSerUkraine) - Facebook
ウクライナ保安庁 (@securityservice_ukraine) - Instagram

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