ウズベキスタンの政党

ウズベキスタンの政党政治：大統領権力と政党の現状

ウズベキスタンにおける政党政治は、大統領の強い権力によって特徴づけられます。議会や政党の影響力は限定的で、活発な政治活動は抑制されているのが現状です。1991年の独立後、しばらくの間は「ビルリク」や「エルク」などの野党が活動していましたが、1992年頃から政府による弾圧が強まりました。これは、野党指導者の逮捕や活動禁止といった具体的な抑圧政策によって示されています。

こうした弾圧の結果、現在では、旧ウズベキスタン共産党を起源とするウズベキスタン人民民主党を中心とした政党が、イスラム・カリモフ大統領（2016年没）ら歴代大統領の支持基盤として議会を支配しています。カリモフ大統領自身も、独立当初はウズベキスタン人民民主党に所属していましたが、後にウズベキスタン自由民主党に移籍したことも知られています。

最高会議に議席を持つ政党

最高会議（ウズベキスタンの議会）に議席を持つ政党は以下の通りです。

ウズベキスタン人民民主党 (O'zbekiston Xalq Demokratik Partiyasi): 1991年11月15日、ウズベキスタン共産党の再編によって誕生しました。現在も議会の主要勢力であり、政府を支持する立場にあります。
公正社会民主党 (Adolat Sotsial Demokratik Partiyasi): 1995年2月18日に創設されました。ウズベキスタン人民民主党と並んで、政府与党として議会に議席を持っています。
ウズベキスタン国民復興民主党 (O'zbekiston Milliy Tiklanish Demokratik Partiyasi): 1995年6月9日に創設されました。こちらも、政府与党の一角を担い、議会に議席を有しています。
ウズベキスタン自由民主党 (O'zbekiston Liberal Demokratik Partiyasi): 2003年に創設され、カリモフ大統領が2007年から所属していました。政府与党として、議会において一定の影響力を持っています。

最高会議に議席を持たない政党

かつて存在したものの、現在では最高会議に議席を持たない、あるいは非合法化された政党も存在します。

ビルリク (O'zbekiston Birlik Xalq Harakati Partiyasi): 1989年に創設された政党ですが、カリモフ政権によって1992年に非合法化されました。
エルク (O'zbekiston Erk Demokratik Partiyasi): 1990年2月、ビルリクから穏健派が分離して結成されました。しかし、カリモフ政権によって非合法化されています。
自由農民党 (Ozod Dehqonlar Partiyasi): 2003年12月6日に創設されましたが、議会に議席を持つに至っていません。

ウズベキスタンの政党政治の現状と課題

以上のように、ウズベキスタンの政党政治は、大統領を中心とした権威主義的な体制の下で運営されています。議会や政党の影響力は限定的で、野党の活動は厳しく制限されています。この状況は、政治的自由や多様性の欠如につながり、持続可能な民主主義の発展にとって大きな課題となっています。今後のウズベキスタンの政治改革において、政党制度の活性化や多党主義の確立は重要な要素となるでしょう。また、政府と野党間の対話や協力関係の構築も、政治システムの安定と発展に不可欠です。 様々な要因が絡み合う複雑な状況の中、ウズベキスタンの政党政治の今後については、引き続き注視していく必要があります。

参考文献

宇山智彦 「政治制度と政治体制：大統領制と権威主義」 岩﨑一郎、宇山智彦、小松久男編 『現代中央アジア論』 日本評論社 2004年 (ISBN 978-4535553187)
* 岡奈津子 「政党」『中央ユーラシアを知る事典』平凡社 2005年 (ISBN 978-4582126365)

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