ウズベキスタン航空

ウズベキスタン航空：中央アジアの翼

ウズベキスタン航空は、ウズベキスタンの首都タシュケントを本拠地とする国営のフラッグキャリアです。1992年、ソビエト連邦崩壊後のウズベキスタンにおいて、イスラム・カリモフ大統領の号令の下、国家による航空事業の推進を目的に設立されました。当初は国内の空港インフラ整備にも注力しつつ、国際線就航による国際的な競争力強化を目指しました。その意気込みを示すように、最初の国際線は、長距離路線であるロンドン線が選ばれました。

設立から30年以上が経過した現在、ウズベキスタン航空は国内外50都市以上を結ぶ路線網を展開しています。国内線では主要都市を網羅し、国際線ではCIS諸国をはじめ、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカへと広範な路線を有しています。国際空港を含む11の空港を所有し、ウズベキスタンにおける航空輸送の中核を担っています。他社との提携やアライアンスには参加しておらず、独自路線で国際競争に挑んでいます。

ウズベキスタン航空の機材は、国際線と国内線で構成されています。国際線の充実を優先した戦略に基づき、設立当初からエアバス機を導入し、現在ではエアバスとボーイングの機材を運用しています。国内線は、アエロフロートからの機材を転用して開始され、その後、国際線の需要増加に伴い、エアバスやボーイング機の導入が進められてきました。

特筆すべき点として、ウズベキスタン航空のIATA 2レターコードが「HY」である点が挙げられます。「HY」はウズベク語の「航空路（havo yo‘llari）」に由来しており、国名や会社名ではなく、単語そのものをコードとして採用しているのは非常に珍しいケースです。この独自性は、ウズベキスタン航空のアイデンティティを象徴しています。

日本路線については、かつてはタシュケントと成田、関西を結ぶ週2便の運航がありました。その後、成田への直行便に一本化され、2013年の一時運休を経て、2014年に運航を再開しました。2020年には、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下において、日本へのチャーター便も運航されています。現在も成田便が運航され、日本とウズベキスタンを繋ぐ重要な役割を担っています。

ウズベキスタン航空の就航都市は多岐に渡り、国内線ではアンディジャン、ブハラ、フェルガナなど主要都市を網羅しています。国際線では、ロシアをはじめとするCIS諸国に加え、アジア圏では東京、北京、ソウル、デリー、バンコクなど、ヨーロッパ圏ではパリ、フランクフルト、ロンドンなど主要都市へ就航しています。その他、アフリカや北アメリカへの路線も開設されており、グローバルな航空ネットワークを構築しています。

機材については、エアバスA300-600、A310-300などの旧式機材は退役し、現在はより近代的なエアバス機とボーイング機が中心となっています。ボーイング社製航空機の発注時のカスタマーコードは「3P」であり、機体形式名に反映されています。ウズベキスタン航空は、今後も中央アジアの航空輸送を支える存在として、更なる発展が期待されます。

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