ウッズホール海洋研究所

ウッズホール海洋研究所（WHOI）

ウッズホール海洋研究所（Woods Hole Oceanographic Institution, 略称：WHOI）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州のウッズホールに所在する、複数の施設が集まった複合的な海洋研究機関です。この研究所は非営利の研究法人として運営されており、基礎的な海洋科学分野から応用的な海洋学まで、非常に広範な領域を網羅する研究スタッフを擁しています。施設全体は、およそ40棟の建物で構成されています。

組織と活動基盤

WHOIにおける研究活動は、主にアメリカ海軍や米国科学財団（National Science Foundation, NSF）といった公的機関からの資金提供によって支えられています。500名を超える研究者、エンジニア、そして様々な分野のスタッフが在籍しており、多様なプロジェクトに取り組んでいます。また、WHOIは単なる研究施設にとどまらず、大学院レベルの教育機関としての役割も担っており、次世代の海洋科学者の育成にも貢献しています。

特筆すべき業績と貢献

WHOIは、数々の歴史的な海洋探査や技術開発において重要な役割を果たしてきました。特に著名なものの一つに、1980年代初頭から中期にかけて行われた、北大西洋におけるタイタニック号の沈没船体探索があります。当時研究所に所属していたロバート・バラード博士を中心とするチームが、この歴史的な船体の発見に成功し、世界中から注目を集めました。

さらに、WHOIは深海調査のための重要なツールである深海潜水艇「アルビン号」の運用拠点としても知られています。アルビン号は、多くの科学的発見に貢献してきた有人潜水艇であり、その維持管理と運用をWHOIが行っています。

また、海洋調査用の自律型無人潜水機（AUV）である「REMUS」の開発も、WHOIの技術力の高さを物語っています。このREMUSは、アメリカ海軍や日本の海上自衛隊などによって、機雷を探知・処理するための掃海具として実際に導入されるなど、実用面でも大きな影響を与えています。

歴史的な訪問

日本との関連では、1975年に昭和天皇がアメリカを訪問された際、同年10月4日にWHOIを視察されています。これは、両国の海洋科学交流史における特筆すべき出来事として記録されています。

立地と周辺環境

WHOIが位置するウッズホールという場所は、海洋研究に関連する他の重要な施設も存在する地域です。例えば、ウッズホール海洋生物学研究所（Woods Hole Marine Biological Laboratory, WHMBL）も同じエリアにあり、互いに連携しながら研究を進める環境が整っています。

アクセス方法

ウッズホール海洋研究所へのアクセスは、主に公共交通機関を利用することができます。

ボストンから：ボストン南駅（South Station）のバスターミナルから、ピーターパン・バス（Peter Pan Bus）がウッズホール行きを1〜2時間おきに運行しています。所要時間は2時間弱です。ボストン南駅へは、ローガン国際空港から無料のシルバーライン（SL1系統）バスを利用すると、約20分で到着します。
ニューヨークから：ニューヨーク方面からは、アムトラック（Amtrak）のアセラ・エクスプレス（Acela Express）などを利用してボストン南駅までアクセスすることも可能です。

ウッズホールのバス停に到着した後、研究所までは徒歩でおよそ30分かかります。そのため、地元の公共交通機関であるケープコッド地域交通公社（Cape Cod Regional Transit Authority）が運行する「WHOOSHトロリー」に乗り換えるのが便利です。ただし、トロリーの本数は季節によって変動するため、事前に時刻を確認することが推奨されます。

調査船

WHOIは、広大な海洋での調査研究のために、自身の調査船を運用しています。「ニール・アームストロング号」などがその代表例です。

その他の情報

ウッズホール海洋研究所は、公式サイト（英文）を通じて情報公開を行っています。また、マサチューセッツ工科大学（MIT）との共同大学院プログラム「MIT/WHOI Joint Program」（英文サイト）も実施しており、教育・研究における協力関係を築いています。

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