ウパニシャッド

ウパニシャッドの概要

ウパニシャッド（梵: उपनिषद्）とは、古代インドのヴェーダに関連する宗教的・哲学的な文献群を指します。通常、「奥義書」と訳されるこの文学は、約200点以上もの多様な作品から構成され、それらは紀元前800年から16世紀にかけて成立したものです。特に、ウパニシャッドの最も独自の要素は、仏教の誕生以前から存在し、西暦前7世紀または前6世紀にさかのぼるその中心思想にあります。

名前の由来

ウパニシャッドという言葉は一般に「近くに座す」という意味があり、知識を求めるものが師に近づき、秘儀や教えを受ける様子が反映されています。このことから、ウパニシャッドは秘説や深い教義を含む文献群として認識されています。

ウパニシャッドの種類

近代の文献であるムクティカー・ウパニシャッドには108のウパニシャッドが挙げられており、伝統的にはこれらの中の多くが古ウパニシャッドとして特に重視されます。古ウパニシャッドは、バラモン教の教典であるヴェーダの終わりの部分に属し、しばしばヴェーダーンタとも呼ばれます。成立時期によって、初期・中期・後期に分類され、各時期には代表的なウパニシャッドが存在します。

古ウパニシャッドのカテゴリ

• - 初期ウパニシャッド（紀元前800年～紀元前500年）: ブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッドやチャーンドーギヤ・ウパニシャッド、タイッティリーヤ・ウパニシャッドなどが含まれます。
• - 中期ウパニシャッド（紀元前500年～紀元前200年）: カタ・ウパニシャッドやイーシャー・ウパニシャッドなどが該当します。
• - 後期ウパニシャッド（紀元前200年以降）: プラシュナ・ウパニシャッドやマーンドゥーキヤ・ウパニシャッドが含まれています。

哲学的背景

ウパニシャッドの哲学は、バラモン教の体系が形式的になり、祭祀の役割に留まる傾向を批判し、内面的な思考と真理の探求を重視することから生まれました。この過程で、宇宙の根源であるブラフマンと、個人の本質であるアートマンとの一致、いわゆる「梵我一如」の認識が中心思想となります。ウパニシャッドによれば、これを理解することで輪廻の苦しみから解放され、真の解脱に至ることが可能とされています。

ウパニシャッドの思想は、後に仏教やジャイナ教の発展にも大きな影響を与え、これらの信仰体系が形成される要因となりました。

参考文献

ウパニシャッドに関する多くの研究や翻訳が行われています。著名なものには、湯田豊の『ウパニシャッド　翻訳および解説』や服部正明の『ウパニシャッド』があります。これらの文献を通じて、ウパニシャッドの深い知恵と哲学が今に伝わっています。

このように、ウパニシャッドは古代インドの教えや哲学の中核を成すものであり、その影響は現代においても色濃く残っているのです。

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