ウフル

ウフル（Uhuru）は、アメリカ航空宇宙局（NASA）が1970年に打ち上げた世界初のX線天文衛星です。1970年12月12日に、ケニア沖のサンマルコ射場からスカウトB型ロケットによって打ち上げられました。

ウフルという名前は、スワヒリ語で「自由」を意味し、打ち上げ日がケニアの7回目の独立記念日であったことに由来します。NASAによる小型天文衛星（SAS）シリーズの1号機であり、SAS-1またはExplorer 42とも呼ばれています。

ミッション概要

ウフル衛星は、宇宙X線源の調査に特化した初の地球周回ミッションです。打ち上げ後、遠地点560km、近地点520km、傾斜角3度、周期96分の軌道に投入されました。ミッションは2年間に渡って運用され、1973年3月に終了しました。

この期間中に、ウフルは宇宙X線源の包括的で均一な全天調査を行い、数百個ものX線源を発見しました。

観測機器

ウフルには、有効面積が約0.084平方メートルの2つの比例計数管が搭載されていました。これらの計数管は、2-20keVの範囲のX線に対して高い感度を持っていました。2つの計数管は互いに背を向けるように配置され、それぞれ0.52°×0.52°と5.2°×5.2°（半値全幅）の視野を持っていました。0.52°の検出器はより細かい角精度を提供し、5.2°の検出器は個々の線源に対してより高い感度を提供しました。検出器には、小田稔によって考案されたすだれコリメーターが搭載されていました。

これらの機器を用いて、ウフルは以下の観測目標を達成することを目指しました。

強い線源に対して数平方分の精度で位置を特定
限界感度で数十平方度の精度で個々の線源の位置を特定
X線源の全体的なスペクトル特性と変動を特定
他の観測機器との連携によるX線対象の協調・同時観測

成果

ウフルによって識別されたX線源は339個に及び、ウフルカタログとしてまとめられました。これらのX線源の正体は、中性子星（またはブラックホール）と低質量星の連星系、超新星残骸、セイファート銀河、銀河団などであることが明らかになりました。

特に重要な成果として、ウフルは銀河団の中の「高温ガス」からX線が放出されていることを発見しました。この発見は、銀河団の構造と進化に関する理解を深める上で重要な貢献となりました。

その他の情報

ウフルは、X線天文学の分野に多大な貢献を果たし、その後のX線天文衛星開発の基礎となりました。

脚注

関連項目

X線天文学
リカルド・ジャコーニ

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