ウラジーミル・ジャニベコフ

ウラジーミル・アレクサンドロヴィチ・ジャニベコフ（ロシア語: Владимир Александрович Джанибеков）は、1942年5月13日にソビエト連邦、現在のウズベキスタンのタシュケント州イスカンダル郊外で生を受けた。幼少期に家族とともにタシュケントへ移り住む。

学生時代、ジャニベコフは学問の世界で物理学に関心を寄せる。1960年にはサンクトペテルブルク大学に入学し、物理学の探求を始めた。しかし、次第に彼が常に抱いていた「飛行」への情熱が強まり、その道を志すことを決意する。1961年、彼はエイスクのV.M.コマロフ高等軍事飛行学校への入学を果たした。ここで飛行技術を専門的に学び、卒業後、ソビエト空軍のフライング・インストラクターとして、多くのパイロットの育成に携わることとなった。

彼のキャリアは、1970年に新たな局面を迎える。厳しい選抜を経て、彼は宇宙飛行士候補に選ばれたのである。同年にはソビエト連邦共産党にも入党している。

宇宙飛行士としてのジャニベコフは、目覚ましい実績を積み重ねた。彼は合計5回にわたる宇宙ミッションに参加している。

ソユーズ27号
ソユーズ39号
ソユーズT-6号
ソユーズT-12号
* ソユーズT-13号

これらの飛行を通じて、彼は通算145日15時間56分という長期間を宇宙空間で過ごした。また、宇宙ステーションの運用や保守に関連して、2度の船外活動（EVA）も実行しており、その合計時間は8時間35分に及ぶ。

1986年、ジャニベコフは宇宙飛行士のプログラムから身を引き、新たなキャリアとして政治の世界に足を踏み入れた。彼は1985年から1990年にかけて、ウズベク共和国の最高ソビエトで副議長を務めるなど、指導的な役割を担った。

宇宙開発や政治活動に加え、ジャニベコフは芸術にも深い造詣を持っていた。特に絵画においては、宇宙をテーマにした作品を数多く手掛けており、彼の視点から捉えた宇宙の光景は多くの人々を魅了し、展示会で公開されたこともある。

彼の功績は多方面で称えられている。小惑星番号3170番は、彼に敬意を表して「Dzhanibekov」（ジャニベコフ）と命名された。さらに、無重力空間で特定の形状を持つ物体が回転する際に見せる特異な挙動、いわゆる「テニスラケットの定理」を宇宙で実証したことから、この現象はしばしば「ジャニベコフ効果」という別名で広く知られている。

ウラジーミル・ジャニベコフは、宇宙飛行士としての偉大な功績だけでなく、政治家、芸術家としても多才ぶりを発揮し、科学史や宇宙開発史にその名を刻んでいる。

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