ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟

ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟

1989年の春にTBS系列で放送された『ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟』は、特撮番組『ウルトラマン』の制作過程に迫るドラマです。原作は映画監督の実相寺昭雄の自伝に基づいており、円谷プロダクションの舞台裏を描写しています。

ストーリーの概要

物語は、昭和41年にさかのぼります。主人公吉良平治（三上博史）は、TBSの演出家としての地位にありますが、彼の特異な演出方法が視聴者から非難され、上司の金子から強い叱責を受けるところから始まります。彼は特撮映画の撮影現場に訪れる機会があり、そこで円谷英二（西村晃）や他のスタッフと出会うことで、特撮の迫力と現実感に感銘を受けます。

円谷プロダクションへの参加

先輩の円谷一郎（三宅裕司）から特撮番組『ウルトラQ』の後継として新番組『ウルトラマン』の制作に参加しないかと誘われ、吉良は心の中で躊躇しつつも、映画監督の英二からの評価を受け、円谷プロダクションに出向く決意を固めます。しかし、この選択は交際中の女優・幸子（国生さゆり）との別れを意味し、その決断は容易なものではありませんでした。

制作現場の過酷さ

円谷プロダクションに参加した吉良は、初めは気づかなかった現場の苛酷な一面を次第に実感していきます。スタッフとの意見の衝突や確執が繰り広げられ、その中で吉良は自身の演出に対するこだわりや美学を見いだしていきます。特に、『ウルトラマン』の第34話や第35話に見られる独特な演出を通じて、彼の成長が描かれます。

演出家としての成長

吉良の持つ美学と円谷プロのスタッフとの間の価値観の違いは、時折厳しい衝突を引き起こしますが、その中で彼は演出家としての成長を遂げていきます。特撮ならではの制約や独特の表現方法を学びながら、与えられた役割を果たす姿がリアルに描写されています。物語は彼がどのようにして演出家として確立されていくのかを追いかけ、視聴者に感動をもたらします。

終幕と受賞

ドラマは、円谷プロダクションとの共同制作の成果を示し、同年に公開された映画『ウルトラマン大会』への鑑賞券プレゼントの告知で締めくくられました。また本作は、第6回ATP賞グランプリを受賞し、特撮ファンや関係者の評価を受けました。

まとめ

『ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟』は、特撮作品の制作に携わる演出家の成長と、彼が直面した葛藤を描いた作品です。特異な演出観を持つ主人公が直面する現場の厳しさや、仲間との絆を描くことで、視聴者に感動を与える内容となっています。この作品を通じて、特撮の魅力と円谷プロダクションのバッググラウンドを理解することができるでしょう。

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