ウルバヌス1世 (ローマ教皇)

ウルバヌス1世は、3世紀の初めにローマ教皇を務めた人物であり、キリスト教の聖人として崇敬されています。彼の生涯については、歴史家エウセビオスの記録にも登場しますが、伝説的なエピソードが多く、具体的な情報は限られています。聖セシリアの夫であるウェレリアヌスを改宗に導いたとされており、また、在位中にはヒッポリュトスがローマ司教の正統性を主張し、後の対立教皇とみなされる事態も発生しました。

特に興味深いのは、ウルバヌス1世がドイツのフランケン地方において、ブドウとワインの守護聖人として広く信仰されている点です。この信仰の起源にはいくつかの説があり、迫害から逃れるためにブドウの木の陰に隠れた際に矢が当たって殉教したという説や、難を逃れた後にワインの守護聖人になることを誓ったという説があります。また、聖杯や聖体皿に金や銀を用いることを制定し、その聖杯を侍器としたことが、ワインの守護聖人としての信仰につながったという説も存在します。ウルバヌス1世の殉教日は5月25日とされています。

興味深いことに、5世紀頃にはラングレーの司教にもウルバンという人物が存在しました。こちらのウルバンは1月23日に殉教したとされていますが、ブドウ園主からの崇拝を集めており、この二人の聖人が混同された結果、ウルバヌス1世の記念日が5月25日に定着したと考えられています。ウルバヌス1世の祝日には、かつて盛大な祭りが開催されていました。聖ウルバンに扮した人物が馬に乗り、楽隊や農家の人々と共に町を練り歩き、勧められるままにワインを飲み干し、最終的には酩酊してしまうこともあったと言われています。地域によっては、ワイン売りが聖ウルバンの像を持ち歩いたり、司教冠をつけて馬で行進したりもしました。夜にはブドウ園主による宴会も開かれ、大いに賑わったそうです。しかし、この祭りは単なる殉教記念ではなく、ブドウの花が咲く時期にその年の豊作を占うための農民の行事としての側面が強く、教会暦では認められていませんでした。祭りの騒ぎが大きくなるにつれて、教会や領主によってしばしば禁止令が出されるようになり、1549年には司教エラスム・ド・リンブール、1551年にはアノー・リシュタンベール伯によって禁止されています。

このように、ウルバヌス1世は、ローマ教皇としての役割に加え、ブドウとワインの守護聖人としての側面も持ち合わせています。彼の生涯は多くの伝説と信仰に彩られ、今日でも多くの人々に記憶されています。

もう一度検索