ウルフソン・カレッジ:革新的なケンブリッジ大学のカレッジ
ウルフソン・カレッジは、
ケンブリッジ大学を構成するカレッジの一つであり、大学院生がその構成員の大部分を占めています。1965年に「ユニバーシティ・カレッジ」として設立された後、1973年にウルフソン財団からの寄付を受けて現在の名称となりました。ケンブリッジ中心部の南西、大学図書館の近くに位置しています。
特徴
ケンブリッジ大学の中でも近代的なカレッジとして知られ、伝統的な慣習にとらわれない自由な校風が特徴です。例えば、フォーマルホールのディナーにおける「ハイテーブル」席は設けられておらず、学生と教員が共に食事をします。また、アカデミックガウンの着用も必須ではありません。学生と教員は全ての施設を共有し、70か国以上からの学生が集まる国際的な環境も魅力です。さらに、男女の区別なく学生と教員を受け入れた最初のカレッジとしても知られています。
歴史
第二次世界大戦後、
ケンブリッジ大学で研究を行う大学院生の増加に対応するため、1965年にユニバーシティ・カレッジが設立されました。カレッジは、動物学教授のジョン・スタンレー・ガーディナーが20世紀初頭に建てたブレドン・ハウスを基盤としています。ガーディナーの死後、ブレドン・ハウスとその庭園は大学に寄贈され、後に
ケンブリッジ大学が敷地を拡張しました。
初代学長には古典学者のジョン・シンクレア・モリソンが就任し、ユニバーシティ・カレッジは1965年6月30日に大学院生のためのカレッジとして開校しました。当時、
ケンブリッジ大学の他のカレッジが男女別であったのに対し、ユニバーシティ・カレッジは初めて男女共学を認めたカレッジとなりました。創立当初から国際的で平等主義的な教育機関を目指し、伝統的なケンブリッジのカレッジとは異なる道を歩みました。
カレッジの創立証書には、10年以内に基金を設立するか解散するかの選択が定められていました。1972年、ウルフソン財団が寄付を提供し、ブレドンハウスと東西コートを中心とした建物の建設を支援することになり、1973年1月1日にウルフソン・カレッジへと改称されました。
建築家マイケル・メニムが設計した新しい建物は、1977年にエリザベス女王2世とエディンバラ公によって開校されました。建物のデザインは、2つのメインコートを囲む配置で、
ケンブリッジ大学の伝統的なカレッジの様式を反映しています。本館のエントランスホールには、古いロンドン橋の花崗岩が使用されています。
その後も拡張が続けられ、1980年代には西側の家と庭園、北側のプランマーハウスがカレッジの所有となりました。フェアリー・ディッキンソン財団や戸田財団からの寄付も受け、1990年代にはギャツビー財団の支援により、理事長センターや居住区が建設されました。
建物と敷地
リー・ライブラリー
1994年に開館したリー・ライブラリーは、シンガポールの実業家リー・セン・ティー博士からの寄贈により建設されました。博士の娘がウルフソン・カレッジで学んでいたことが縁となり、図書館の建設資金を提供しました。図書館は、Brewer, Smith and Brewerによって設計され、エントランスには北京天文台の球体模型が展示されています。2階には、リー博士の父であるタン・スリ・リー・コン・チャン氏の胸像があります。60以上の静かな作業スペースを備え、12月25~26日と1月1日を除き、24時間利用可能です。
2018年2月には、学長庭園で第二次世界大戦の不発弾(手榴弾)が発見され、一時的に学生が避難する騒ぎがありました。幸い、負傷者はなく、訓練用の手榴弾であることが判明しました。
カレッジ・ガーデン
20世紀前半には、現在のカレッジの敷地の多くは、セルウィン・ガーデンズの住宅の庭園でした。カレッジの発展に伴い、ポーターズロッジの外にある桑の木など、自然のランドマークが残されました。庭園には、様々な種類の樹木、香りの良い灌木、針葉樹などが植えられています。庭師長によるガイドツアーも実施され、夏には一般公開も行われています。
学生生活
ウルフソン・カレッジは、エンターテイメントイベントやパフォーマンスが盛んであり、他のカレッジからの訪問者も多く集まります。フォーマルディナー、コンサート、ダンスナイト、音楽ディスプレイなど、様々なイベントが開催されています。
カレッジの中心にあるクラブルームは、バーとダンスフロアを備えた多目的スペースであり、日中はカフェとして利用されています。学生のための主要な交流の場であり、多くのエンターテイメントイベントの会場となっています。
ウルフソン・カレッジ・ボート・クラブも人気のある団体であり、
ケンブリッジ大学の中でも漕艇が盛んなカレッジの一つです。
参考文献
公式サイト
ウォルフソン大学学生協会