ウーナ (映画)

ウーナ：許されざる愛の15年

2016年公開の米英加合作映画『ウーナ』（原題:Una）は、デヴィッド・ハロワーの戯曲『Blackbird』を原作とする、重厚な人間ドラマです。ベネディクト・アンドリューズ監督、ルーニー・マーラとベン・メンデルソーンという実力派俳優陣が織りなす、忘れがたい物語は、観る者の心に深く刻まれます。

物語は、平凡な日常を送るレイの前に、かつて深い関係にあったウーナが現れたことから始まります。15年前、レイは13歳のウーナと関係を持ち、その後逮捕、服役という過去を背負っています。名前を変え、社会に復帰したレイは、今では管理職として安定した生活を送っていました。

一方、ウーナは、レイとの過去による心の傷を抱え、周囲の冷たい視線に苦しみながら生きてきました。過保護な母親の元で過ごした時間も、ウーナにとって容易なものではありませんでした。15年もの間、レイが自分を捨てた理由を解き明かそうと苦悩してきたウーナは、ついにレイのもとへ直接、その疑問をぶつけようと決意します。

レイの職場に現れたウーナ。再会した2人の間には、複雑な感情が渦巻きます。レイは、過去の過ちと現在の穏やかな生活、そして妻であるイヴォンヌとの関係の間で揺れ動きます。ウーナの、レイへの強い感情と、彼への問いかけは、レイを過去の過ちと向き合わせます。ウーナはレイとの復縁を求めるわけではありませんでしたが、15年間心に抱えていた疑問を、真摯に受け止め、理解してくれることを願っていました。しかし、レイは、その思いに応えることができません。

映画は、レイとウーナの過去の関係、そして現在の状況を、繊細かつ丁寧に描いています。未成年者との性的関係というセンシティブな題材を、単なるスキャンダルとしてではなく、それぞれの登場人物の葛藤や心の傷、そして人間関係の複雑さを深く掘り下げて表現することで、私たちに考えさせられる作品に仕上がっています。

ルーニー・マーラとベン・メンデルソーンは、それぞれウーナとレイという複雑な役柄を見事に演じきっています。特に、それぞれの心の傷や葛藤を表現する彼らの演技は、観る者の心を揺さぶります。13歳のウーナを演じたルビー・ストークスも、見事な演技を見せています。

本作は2015年に制作が始まり、テルライド映画祭、トロント国際映画祭、ロンドン映画祭など、数々の映画祭で上映されました。批評家からも高い評価を受け、Rotten Tomatoesでは76%の高支持率を獲得しています。批評家たちは、主演二人の素晴らしい演技と、舞台劇から映画への巧みな移行を称賛しています。

『ウーナ』は、過去と現在、罪と罰、そして愛と後悔といった普遍的なテーマを、鮮やかに描いた傑作です。15年の時を経て再会した2人の、複雑で切ない物語は、私たちに深い感動と余韻を与えてくれます。心に響く、忘れられない映画体験となるでしょう。

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キャスト

ウーナ・スペンサー：ルーニー・マーラ
13歳のウーナ・スペンサー：ルビー・ストークス
レイ・ブルックス：ベン・メンデルソーン
その他：リズ・アーメッド、インディラ・ヴァルマ、タラ・フィッツジェラルド、トビアス・メンジーズ、ナターシャ・リトルなど

スタッフ

監督：ベネディクト・アンドリューズ
原作：デヴィッド・ハロワー（戯曲『Blackbird』）

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