エキュメニカル総主教

エキュメニカル総主教（ギリシア語: Οἰκουμενικὸς Πατριάρχης, 英語: Ecumenical Patriarch）は、正教会のコンスタンディヌーポリ総主教が有する称号の一つであり、正教会における名誉上の最高の地位を表します。

概要

「エキュメニカル」は、ギリシア語の「オイクメノス」に由来し、「全地」あるいは「既知世界の総体」を意味します。この称号は、「全地総主教」や「世界総主教」と訳されることもありますが、現時点ではまだ定着した翻訳語は確立されていません。

日本ハリストス正教会では、「エキュメニカル」(Ecumenical)という言葉に「全地」という訳語を当てているため、この慣例に従えば「全地総主教」という訳語を用いることが可能です。

コンスタンディヌーポリ総主教庁は、キリスト教の歴史において重要な役割を果たしてきました。その総主教は、初期キリスト教会の五大総主教座の一つとして、東方教会の中心的な存在であり続けました。エキュメニカル総主教は、正教会の各教会との連携を保ち、その結束を象徴する存在として、重要な役割を担っています。

ただし、エキュメニカル総主教は、ローマ教皇のような普遍的な管轄権を持つわけではありません。その権威は、名誉的なものとして理解されるべきであり、各正教会はそれぞれの独立性を保っています。エキュメニカル総主教は、正教会の精神的な指導者として、その声に耳を傾ける信徒は多いですが、教義的な決定や教会運営においては、各教会の自治が尊重されています。

エキュメニカル総主教庁は、世界各地の正教会との対話や協力関係を積極的に進めており、キリスト教全体の एकता（一致）を促進するための活動も行っています。また、環境問題や社会正義といった現代社会の課題にも積極的に取り組み、その姿勢は多くの人々から支持されています。

エキュメニカル総主教の選出は、コンスタンディヌーポリ総主教庁の聖シノドによって行われます。選出された総主教は、正教会の伝統に則り、その職務を遂行し、信徒の духовное руководство（霊的指導）を行います。その役割は、単なる教会の指導者にとどまらず、正教会の信仰と文化を世界に伝える大使としての役割も担っています。

近年、エキュメニカル総主教庁は、様々な困難に直面しています。特に、トルコ政府との関係や、財政的な問題など、解決すべき課題は少なくありません。しかし、エキュメニカル総主教庁は、その歴史と伝統を守りながら、現代社会における正教会の役割を果たし続けています。

関連項目

コンスタンディヌーポリ総主教の一覧
ローマ教皇

外部リンク

* 全地総主教庁公式サイト（ギリシャ語・英語）

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