エクスプローラー33号

エクスプローラー33号：予期せぬ軌道での科学的成功

エクスプローラー33号（Explorer 33, IMP-D）は、アメリカ航空宇宙局（NASA）によって1966年7月1日に打ち上げられた人工衛星です。当初の目的は、月近傍の磁場と放射線を観測することでしたが、打ち上げ時の速度超過により、月軌道への投入は叶いませんでした。しかし、その予期せぬ軌道上で、多くの科学的発見をもたらしたミッションとして知られています。

計画と打ち上げ

エクスプローラー33号は、当初、月軌道に投入される予定でした。しかし、打ち上げ時の速度超過により、計画は大きく変更せざるを得ませんでした。結果として、衛星は近地点高度265,679km、遠地点高度480,762kmの地球長楕円軌道に投入されました。この軌道は、当初の月探査ミッションとは異なるものでしたが、結果的には、太陽風、惑星間プラズマ、太陽X線といった広範な宇宙環境の観測を可能にするものでした。

搭載機器と観測

エクスプローラー33号には、高エネルギー粒子やX線放射能を調べるための電子・陽子検出器が搭載されていました。これらの機器は、第一研究者であるジェームズ・ヴァン・アレン氏の指揮の下、高エネルギー粒子やX線放射能の測定に活用されました。このデータは、宇宙空間の粒子環境を理解する上で非常に貴重なものとなりました。

主要な科学的成果

エクスプローラー33号がもたらした最も重要な成果の一つは、宇宙物理学者のN. U. Crooker、ジョーン・ファインマン、J. T. Goslingらによって行われた、地磁気と地球近傍における太陽風速度との関係の確立です。彼らは、エクスプローラー33号の観測データを分析し、これらの宇宙現象の関連性を明らかにしました。この研究は、太陽活動が地球の磁気環境にどのように影響を与えるのかを理解する上で、重要な役割を果たしました。

さらに、エクスプローラー33号は、地球の磁気圏尾部や中性シートの観測にも貢献しました。そのデータは、地球の磁気圏構造を解明する上で重要な情報を提供しました。また、地球のバウショックや磁気圏尾部のマッピングにも利用され、地球周辺の宇宙環境を立体的に理解する上で欠かせないものとなりました。

まとめ

エクスプローラー33号は、当初の計画とは異なる軌道に入ったにもかかわらず、太陽風、惑星間プラズマ、太陽X線、高エネルギー粒子、地磁気など、多岐にわたる分野で重要な科学的成果をもたらしました。そのデータは、宇宙物理学や太陽地球系科学の発展に大きく貢献し、現在でもその価値は色褪せていません。

参考文献

エクスプローラー33号 - ウェイバックマシン（2012年3月19日アーカイブ分） (JAXA、日本語)
AIMP-D Technical Summary Description
Second Interim Flight Report - AIMP-I - Explorer XXXIII
Observations of the earth's magnetic tail and neutral sheet at 510,000 km by Explorer 33 - 1966
Observations of the earth's magnetic tail and neutral sheet at 510,000 km by Explorer 33 - 1967
Mapping of the earth's bow shock and magnetic tail by Explorer 33
* Energetic particles in the outer magnetosphere - Explorer 33

もう一度検索