エコーズ (ピンク・フロイドの曲)

ピンク・フロイドの「エコーズ」は、1971年発表のアルバム『おせっかい』に収録された、23分31秒に及ぶ壮大な楽曲です。レコードのB面を丸ごと使用したこの曲は、バンドメンバー4人全員による共作で、デヴィッド・ギルモアとリチャード・ライトがヴォーカルを担当しています。

楽曲の誕生

「エコーズ」の冒頭を飾る印象的な「ビィーン！」というサウンドは、レコーディングセッション中に偶然生まれました。リック・ライトが実験的にグランドピアノをレスリースピーカーに接続して演奏したところ、その独特な響きが他のメンバーを魅了し、採用されることになったのです。

レコーディングセッションでは、24にも及ぶテーマが制作され、それらは「Nothing Parts 1 to 24」と呼ばれていました。これらの断片的なアイデアが、時間をかけて「エコーズ」という一つの楽曲にまとめ上げられていったのです。

ライブでの演奏

「エコーズ」は、1971年5月からコンサートで披露され始めました。当初は「Return of the sun of nothing」という仮のタイトルで演奏されていましたが、1971年夏頃には現在の「エコーズ」というタイトルに落ち着いたとされています。

23分を超える長尺にもかかわらず、「エコーズ」は1975年までライブの定番曲として演奏され続けました。リック・ライトは、コンサートでの演奏について、スタジオテイクと遜色なく、演奏しやすいと語っています。ギルモア体制になってからの初のツアー、1987年のコンサートでも、最初の数公演で「エコーズ」が披露され、ファンを魅了しました。

ベストアルバムへの収録

2001年には、ピンク・フロイド初のベストアルバムのタイトルに「エコーズ」が採用され、楽曲自体も収録されました。ただし、このベストアルバムに収録されたバージョンは、16分強に短縮されています。これは、「2001年にバンドがエコーズを作るとしたら、1971年と比べて演奏力や技術も向上しているため、23分よりも短い時間でより凝縮されたものができるはず」という考えに基づいたものでした。

近年の演奏

デヴィッド・ギルモアは、2006年からの『オン・アン・アイランド』ツアーにおいても「エコーズ」を披露し、そのパフォーマンスは観客を感動させました。時代を超えて愛される「エコーズ」は、ピンク・フロイドの音楽史における重要な作品の一つと言えるでしょう。

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