エスタブリッシング・ショット

エスタブリッシング・ショット（Establishing Shot）は、映画やテレビドラマなどの映像作品において、シーンの冒頭で用いられる重要な撮影技法の一つです。状況設定ショットとも呼ばれ、その後に続くアクションがどこで、いつ起こるのかを視聴者に伝える役割を担います。

役割と機能

場所と時間の設定: エスタブリッシング・ショットは、物語の舞台となる場所を視覚的に示し、シーンが展開される時間帯を伝えます。これにより、視聴者は物語の状況を把握しやすくなります。
空間的位置関係の明確化: 登場人物と彼らが存在する場所との空間的な関係性を明確にします。これにより、視聴者はシーンの状況をより深く理解できます。
物語への没入感の向上: 視聴者を物語の世界へと引き込み、没入感を高める効果があります。

ショットの種類

エスタブリッシング・ショットは、ロングショットや超ロングショットで撮影されることが一般的ですが、必ずしもそうである必要はありません。重要なのは、シーンの状況を効果的に伝えることです。

ロングショット: 登場人物とその周囲の環境を捉え、場所と人物の関係性を示します。
超ロングショット: 広大な風景や建造物を捉え、物語の舞台となる場所全体を示します。

具体例

宇宙を舞台にした映画: 『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望|スター・ウォーズ エピソード4_新たなる希望』の冒頭で宇宙船が飛行するシーンは、宇宙空間を舞台にした物語であることを示しています。
荒廃した世界: 『マッドマックス 怒りのデス・ロード|マッドマックス_怒りのデス・ロード』の冒頭で荒れ果てた砂漠地帯や錆びついたV8インターセプター車を映すことで、核戦争後の荒廃した世界であることを示しています。
都市の描写: 自由の女神やブルックリン橋を映すことでニューヨーク、ロンドン・アイを映すことでロンドンを舞台にしていることを示唆します。
* 時間の表現: 太陽や星空を映すことで、時間帯（昼、夜明け、夕暮れなど）を示します。

カバー・ショットとしての利用

エスタブリッシング・ショットは、カバー・ショットとしても利用されます。カバー・ショットとは、シーン全体を捉えたショットで、編集の際に場面転換や時間の経過を示すために挿入されます。

エスタブリッシング・ショットは、映画製作において不可欠な要素であり、物語の理解を助け、視聴者の没入感を高めるために重要な役割を果たします。

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