エステバン・カンビアッソ

エステバン・カンビアッソ：アルゼンチンの至宝、ボランチのレジェンド

エステバン・マティアス・カンビアッソ・デレアウ。1980年生まれ、アルゼンチン・ブエノスアイレス出身の元サッカー選手である。その名は、世界中のサッカーファン、特にインテル・ミラノのファンにとって、永遠に語り継がれるだろう。

華麗なるキャリアの軌跡

地元クラブであるAAアルヘンティノス・ジュニアーズでキャリアをスタートさせたカンビアッソは、15歳という若さでレアル・マドリードへと移籍。しかし、トップチームへの定着は容易ではなかった。経験を積むため、CAインデペンディエンテとCAリーベル・プレートにレンタル移籍するも、その卓越した才能は既に周囲の者を魅了していた。

2002年、レアル・マドリードに復帰。当時、銀河系軍団と呼ばれた豪華なメンバーの中で、カンビアッソはクロード・マケレレと共にピボーテとして中盤の要を担った。正確なパス、堅実な守備、そして献身的なプレー。その姿は、まさに中盤の守護神だった。

インテルでの黄金時代

2004年、カンビアッソはセリエAの強豪インテルナツィオナーレ・ミラノへと移籍する。移籍後すぐにレギュラーポジションを獲得すると、ハビエル・サネッティ、フアン・セバスティアン・ベロンといったアルゼンチン代表の仲間たちと共に、チームの中核を担った。

2009-10シーズン、ジョゼ・モウリーニョ監督率いるインテルは、セリエA、コッパ・イタリア、そしてUEFAチャンピオンズリーグの三冠を達成するという偉業を成し遂げた。カンビアッソは、その歴史的シーズンに大きく貢献。特にチャンピオンズリーグ決勝トーナメント一回戦1stレグでのチェルシー戦での決勝ゴールは、インテルサポーターの記憶に鮮やかに刻まれているだろう。怪我による長期離脱に見舞われたシーズンを除けば、毎シーズン30試合以上に出場。チームの重鎮として、揺るぎない存在感を示し続けた。

インテルでの10年間で数々のタイトルを獲得。セリエA5回、コッパ・イタリア4回、チャンピオンズリーグ1回など、輝かしい功績を残し、2020年にはインテル殿堂入りを果たした。

インテル退団後

2014年、インテルを退団。レスター・シティFC、オリンピアコスFCと渡り歩き、2017年に現役を引退した。引退後も、既にUEFAの指導者ライセンスを取得しており、指導者としての道を歩む準備を整えている。

アルゼンチン代表での活躍

16歳でU-20アルゼンチン代表に選出され、1997年のワールドユース選手権では、フアン・ロマン・リケルメ、ワルテル・サムエルらと共に優勝を経験。1999年大会ではキャプテンを務めた。

フル代表では2000年にデビュー。2004年のFIFAワールドカップ・ドイツ大会では、ホセ・ペケルマン監督の下で活躍。2006 FIFAワールドカップではセルビア・モンテネグロ戦でゴールを決め、チームの勝利に貢献した。しかし、ディエゴ・マラドーナ監督時代には代表から遠ざかり、2010 FIFAワールドカップ出場は叶わなかった。

人物像

祖先はイタリア系アルゼンチン人。愛称の「クチュ」はアルゼンチンの芸能人に由来し、「おやじさん」という意味を持つ。

2011年時点で獲得したタイトル数は23。これはアルゼンチン人選手として最多記録である。現在も独身であるが、元妻との間に一人娘がいる。

レジェンドの系譜

エステバン・カンビアッソ。その名は、単なるサッカー選手の枠を超え、アルゼンチンサッカーの歴史に名を刻むレジェンドとして、永遠に語り継がれるだろう。彼のプレー、そして生き様は、多くのサッカー選手、そしてサッカーファンにとって、永遠の憧れであり続けるだろう。

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