エスプーマ

エスプーマとは

エスプーマ（スペイン語: ESPUMA）とは、スペイン・カタルーニャにある著名なレストラン「エル・ブジ」の料理長フェラン・アドリアによって開発された料理技法及びその調理器具を指します。エスプーマは、食材を軽やかな泡状に変えることができる画期的な技術で、多くのシェフや料理愛好家に注目されています。ここでの「espuma」という言葉は、スペイン語で「泡」を意味します。

調理法の概要

エスプーマを実現するためには、特別な器具を用います。この器具に食材を入れ、密封してから亜酸化窒素ガスを充填します。その後、器具全体を軽く振動させ、ノズルを操作することで、素材がムースのような泡として出てきます。この調理方法により、見た目にも美しく、軽やかな食感を持つ料理が作り出されるのです。

日本では、エスプーマの技術を用いる際に、亜酸化窒素の代わりに二酸化炭素を利用するケースが一般的です。この代用品によっては特有の酸味が付加されますが、クリーム類に関しては、亜酸化窒素の方が適していることが多く、結果として質感や風味が異なるため注意が必要です。

亜酸化窒素の規制状況

亜酸化窒素は日本において2006年4月に食品添加物として認可されましたが、その使用が問題視されるようになると、2016年2月には医薬品医療機器法に基づき、指定薬物に指定されるに至りました。このため、亜酸化窒素の製造・販売・所持・使用は、医療以外の目的では禁じられるようになりました。結果として、エスプーマにおける亜酸化窒素の使用は非常に厳しく制限されています。

日本におけるエスプーマの広がり

日本でのエスプーマの普及には、エル・ブジでの経験を持つシェフ、山田チカラの影響が大きいです。彼は独創的なエスプーマ料理を提案し、多くのメディアで紹介されることで、この技術の認知を高めました。彼の創作は、エスプーマの技法を日本の食文化に取り入れる新たな道を開いたのです。

事故と安全性の問題

フランスでは、エスプーマに関連する事故が報告されています。フィットネス・ブロガーのレベッカ・ビュルジェールが使用中に爆発事故が起き、命を落とすという悲劇もありました。彼女が使用していた器具の不具合により、接続部品が外れたことが原因です。フランス国内での消費者団体からは、これまでも器具の安全性に関する警告が出されており、事故報告も後を絶ちません。歯の破損、耳鳴り、多発性骨折や失明など、様々な被害が報告されています。2015年以降のエスプーマ器具に関しては改善策が施されていると言われていますが、依然として利用者は注意が必要です。

このように、エスプーマはその魅力ある調理技術に加え、安全性にも配慮が必要な課題を持っています。その一方で、新しい料理創造の可能性を秘めている技法として、今後も注目され続けるでしょう。

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