エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ

エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ：ミニマリズムと伝統の融合

エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ (Eduardo Souto de Moura) は、1952年、ポルトガル北部ポルト生まれの建築家です。ポルトを拠点に活動し、母校であるポルト大学の建築学部教授も務めています。同大学は、フェルナンド・ターヴォラやアルヴァロ・シザといった巨匠を輩出した名門校であり、ソウト・デ・モウラ自身も、その伝統を受け継ぐ建築家として国際的な評価を得ています。

ソウト・デ・モウラの建築は、大理石や花崗岩、コンクリートといった素材を用いた重厚な壁と、ミース・ファン・デル・ローエの影響を感じさせる水平線を強調した構成が特徴です。洗練されたミニマリズムの中に、ポルトガルの伝統的な建築様式や素材への深い理解が感じられる、独特のスタイルを確立しています。

経歴：アルヴァロ・シザとの師弟関係と国際的な活躍

ソウト・デ・モウラは、医者である父と母のもと、ポルトで生まれ育ちました。当初は彫刻を学んでいましたが、後に建築に転向し、1980年にポルト大学で建築の学位を取得します。

彼のキャリアにおいて重要なのは、ポルトガルの建築界の巨匠、アルヴァロ・シザとの師弟関係です。1974年から1979年までシザの事務所に勤務し、その経験は彼の建築家としての道を大きく切り開きました。その後、独立して自身の事務所を設立し、1981年にはポルト市の文化センター設計コンペで優勝。この受賞をきっかけに、国内外から注目を集める存在となります。

文化センターの設計では、既存の新古典主義建築の庭園を保存しつつ、劇場や展示会場などを備えた複合施設を建設するという難しい課題に挑戦。ソウト・デ・モウラは、花崗岩の壁で囲まれたミニマルなデザインでこの課題を見事に解決しました。その後も、オーストリアのザルツブルクのホテル設計コンペなど、数々の国際的なプロジェクトを手掛け、その名声を確固たるものにしていきます。

初期の住宅建築を基盤として、ショッピングセンター、学校、美術館、映画館など、規模の大きな建築プロジェクトにも積極的に取り組んできました。また、12世紀の修道院の廃墟をホテルに改築するプロジェクトなど、歴史的建造物の再生にも関与しています。

母校であるポルト大学では、助教授、そして教授として後進の育成にも貢献。ハーバード大学など、海外の大学でも講義を行っており、建築教育にも大きな影響を与えています。

受賞歴と代表作：プリツカー賞受賞の輝かしい実績

ソウト・デ・モウラの卓越した建築デザインは、数々の賞に輝いています。2011年には、建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を受賞。ポルトガル人としてはアルヴァロ・シザに続く2人目の受賞者となりました。受賞に際しては、ブラガ市の市立サッカー競技場、ポルト市の高層ビル、カスカイスのポーラ・レゴ美術館などが評価されました。2013年にはウルフ賞芸術部門も受賞しています。

代表作

ポルト文化センター（芸術の家） (1981年-1991年)
アヴェイロ大学地球科学学部 (1990年-1994年)
ハノーバー万博ポルトガル館（アルヴァロ・シザと共同）(2000年)
エスタディオ・ムニシパル (2003年)

ソウト・デ・モウラの作品は、ミニマリズムと伝統、現代性と歴史性を巧みに融合させた、独特の建築美を提示しています。彼の作品は、単なる建造物ではなく、場所の歴史や文化、そして自然環境との対話を通して生まれた、創造的な表現と言えるでしょう。今後も、彼の新たな建築作品が世界中の人々を魅了し続けることは間違いありません。

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