エドゥスクンタ

フィンランドのエドゥスクンタ：一院制議会の権力と役割

フィンランドのエドゥスクンタ（Eduskunta, Riksdagen）は、フィンランド共和国の立法府であり、国民主権の根幹を担う一院制議会です。1906年の設立当初は両院制でしたが、現在は200議席からなる一院制で構成されています。議員の任期は4年で、必要に応じて解散されることもあります。

選挙制度と構成

エドゥスクンタ議員の選出は、主に非拘束名簿式比例代表制に基づいています。全国を14の選挙区に分け、各選挙区から複数の議員が選出されます。この他に、オーランド諸島からは1名が単純小選挙区制で選出されます。選挙権は18歳以上のフィンランド市民に与えられ、被選挙権も同様に18歳以上の市民に認められています。ただし、被後見人や、軍人、法務総裁などの特定の職務に就いている者は、被選挙権が制限されます。

エドゥスクンタの権限と役割

フィンランドの基本法は、エドゥスクンタに立法権と国家財政決定権を付与しています。これに加え、エドゥスクンタは、広範な人事権や行政監察権限も持ちます。具体的には、法律案の発案、予算の承認、内閣への質問権、不信任決議の発議など、国の政治運営において中心的な役割を担っています。

立法プロセス

法律制定プロセスは二読会制を採用しています。まず、担当委員会による報告書作成の後、第一読会で法律案の内容が決定されます。その後、最短3日後に第二読会が行われ、採択可否が決定されます。採択された法律案は、大統領に提出され、3ヶ月以内に承認されます。大統領は承認前に最高裁判所や最高行政裁判所の意見を聴取できますが、承認を拒否した場合、あるいは3ヶ月以内に承認しない場合は、エドゥスクンタで再審議が行われ、再採択されれば法律は成立します。

内閣との関係

フィンランドは議院内閣制を採用しており、首相はエドゥスクンタによって選出され、大統領によって任命されます。大統領は直接選挙で選出され、内閣はエドゥスクンタに対して連帯責任を負います。エドゥスクンタは、首相の提案に基づき、大統領によって解散される可能性があります。ただし、大統領の権限は、エドゥスクンタ解散権が大統領の専権とされていないなど、憲法によって抑制されています。

財政権限

エドゥスクンタは、国家財政に関する広範な権限を持ちます。具体的には、国税の決定、国家予算の承認、国家債務の承認、国家公務員の賃金の決定、会計検査委員の選出、フィンランド中央銀行の監督など、国の財政運営全般にわたる権限を有しています。

人事権

エドゥスクンタは、いくつかの重要な人事権も有しています。例えば、社会保険制度管轄機関理事の任命、オンブズマンの任免、会計検査委員の選出、フィンランド中央銀行理事の選出、大統領や大臣に対する弾劾裁判の承認など、国家機関の重要な要職への任命権限を保有しています。

国際事務

エドゥスクンタは、条約の批准、EU関連法案の審議など、国際関係に関わる重要な決定にも関与します。外務委員会は政府の外交・安全保障政策に関する報告書提出を要求できるなど、国際情勢への影響力も持っています。

憲法改正

憲法改正には、通常手続と緊急手続の2種類があります。通常手続では、第二読会で賛成多数を得た後、選挙後の最初の会期まで留保し、再度審議を行い3分の2以上の賛成を得る必要があります。緊急手続では、議員の6分の5の決議によって緊急の必要が宣言されれば、第二読会で直ちに3分の2以上の賛成を得ることで憲法改正が成立します。

まとめ

エドゥスクンタは、フィンランドの政治システムの中核をなす重要な機関です。立法、財政、人事など、幅広い権限を持ち、国民主権の行使において決定的な役割を担っています。その権限と役割を理解することは、フィンランド政治を理解する上で不可欠です。

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