エフィッシモ・キャピタル・マネジメント

エフィッシモ・キャピタル・マネジメントについて

エフィッシモ・キャピタル・マネジメント（Effissimo Capital Management Pte Ltd）は、シンガポールに本社を持つ投資ファンドで、日本企業に対する投資を主な活動としています。このファンドの運用資産は推定で1兆円を超え、日本の企業を対象とした投資ファンドの中でも最大規模を誇ります。

設立の背景

エフィッシモは2006年6月に設立されました。設立者は、高坂卓志と今井陽一郎の二人で、彼らは当時村上ファンドに勤務していました。村上ファンドはニッポン放送株の買い占めに関連し、証券取引法違反で村上世彰が逮捕され、その結果ファンドは閉鎖に追い込まれました。彼らはこのような状況の中で、新たな投資ファンドを立ち上げることを決意しました。設立から間もなく、元同僚の佐藤久彰も企業に加わりました。

始めは、アメリカの大学基金に対して出資をお願いし、成功を収めました。ミシガン州、バーモント州、ノースカロライナ州の退職年金基金や、カナダの年金運用最大手であるカナダ年金制度投資委員会、さらには欧州合同原子核研究所（CERN）など、大手の機関投資家の資産運用を手がけています。

投資戦略

エフィッシモは、コーポレート・ガバナンスに問題を抱えた割安株を積極的に買い進め、企業に対して批判を行うことで、株主の利益を追求するアクティビストのスタイルを取っています。この戦略は、村上ファンドの手法を踏襲したもので、特に正論で会社側を指摘し道理をもって追い詰めるという特徴があります。彼らの過去の実績によれば、2006年から2018年までの年平均実質利回りは12.9%で、この期間のMSCIジャパンインデックスの利回りを大きく上回る結果を収めています。

主な事例の紹介

エフィッシモにおいては純粋な投資目的の株式保有だけでなく、経営陣への重要な提案を行うこともあります。例えば、2007年にはダイワボウ情報システムの株式を買い占め、コーポレート・ガバナンスにおける弱点を指摘し、親会社であるダイワボウに対してその株を買い戻させることに成功しました。

川崎汽船に対する取り組みでは、2016年の株主総会で経営側との対立がありましたが、株式保有比率を4割近くまで高め、2019年には社外取締役を送り込むことに成功しました。特に注目されるのは、2021年3月の東芝の臨時株主総会で、エフィッシモが提案した議案が可決されたことです。この議案に対し、会社側は強く反対していましたが、最終的に他のアクティビストの支持を得て承認されました。この動きは日本企業のコーポレートガバナンスにおいて非常に重要な出来事として評価されています。

また、2021年6月の定時株主総会では、事前に決まっていた監査委員長の人事案を撤回させ、取締役会議長の再任も否決させるという異例の結果を導きました。これらの事例を通じて、エフィッシモは日本市場におけるアクティビスト投資ファンドとして、着実にその影響力を拡大しています。

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