エフゲーニ・ザラフィアンツ

エフゲニー・ザラフィアンツ（Evgeny Zarafiants, 1959年6月24日 - ）は、ロシア出身の著名なピアニストであり、その卓越した才能と音楽性で国際的な評価を確立しています。

生い立ちと音楽教育

ザラフィアンツは、ロシア共和国のノヴォシビルスクで音楽一家に生まれました。父親はピアニストであり、オーボエ奏者（クレムリン軍楽隊の楽員）でもあり、母親もピアニストという環境で育ちました。6歳から父親にピアノの手ほどきを受け、8歳からはモスクワ音楽院附属中央音楽学校でエレナ・ホヴェンに師事し、幼い頃から音楽の才能を開花させました。

その後、グネーシン音楽学校、オルスク音楽院、グリンカ音楽院、大学院（イリヤ・フリートマンに師事）と、すべての課程を首席で卒業。在学中からロシア国内の数々のコンクールで入賞を重ね、その才能を高く評価されました。

国際的な活躍

1993年、ポゴレリッチ国際コンクール（アメリカ・カリフォルニア州パサデナ）で第2位を受賞したことが、ザラフィアンツが世界的に注目されるきっかけとなりました。その後、クロアチア共和国に移住し、ミルコヴィッチアカデミー教授やザグレブ国立音楽院講師などを歴任。ドイツや日本を中心に演奏活動を展開するようになりました。

日本へは1997年秋に初めて来日して以来、ほぼ毎年複数回来日し、東京をはじめ全国各地でコンサートや公開講座を開催しています。2004年には、ロシア・フィルハーモニー管弦楽団（アレクサンドル・ベデルニコフ指揮）とチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を、2005年にはチェコ・プラハ管弦楽団（武藤英明指揮）とベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を、そして2006年にはザグレブ・フィルハーモニー管弦楽団（ヨハネス・ヴィルトナー指揮）とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を共演するなど、オーケストラとの共演も積極的に行っています。

2006年からは、ザグレブ国立音楽院講師に再任。2007年には、来日10周年を記念して東京紀尾井ホールでリサイタルを開催し、スーパーワールドオーケストラとベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を共演するなど、精力的な活動を展開しました。

2011年の東京文化会館でのリストイヤーにちなんだリサイタルをはじめ、神戸朝日ホール、王子ホール、五反田音楽ホール、東京文化会館などでリサイタルを開催し、成功を収めています。また、室内楽の分野でも才能を発揮しており、2007年のザグレブ弦楽四重奏団とのシューマン、ブラームスのピアノ五重奏や、2016年のチェコゾリスデンとのドヴォルザークのピアノ五重奏などは、高い評価を得ています。同年秋には、愛知県立芸術大学創立50周年記念式典（於 愛知県芸術劇場）でラフマニノフのコンチェルトを演奏し、聴衆を魅了しました。

演奏の特徴と評価

ザラフィアンツの演奏は、弱音の美しさが際立っており、ダイナミクスの幅広さと表情の豊かさも特徴です。音楽の自然な息遣いを大切にし、聴衆を深く感動させる演奏を追求しています。その深遠で幻想的な音楽世界は、「ピアノの詩人」と称され、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

教育活動と日本との関わり

ザラフィアンツは、声楽の伴奏者としても高い評価を得ています。また、レコーディングも活発に行っており、日本ではALMレコード（コジマ録音）から多数のCDをリリースし、各メディアから高い評価を受けています。ナクソス(NAXOS)からもCDをリリースし、特にスクリャービンの前奏曲全集の中の「前奏曲第1集」は、イギリスの雑誌『グラモフォン』の月間ベスト10に選ばれました。

2015年4月から2019年3月まで愛知県立芸術大学のピアノ科教授を務め、後進の育成にも尽力しました。指導者としての才能にも恵まれ、日本語での的確な指導は多くの学生から支持されています。大学での任期を終えた後も日本に在住することを決意し、活動の拠点を日本に移しつつあります。

ザラフィアンツは、現在も日本を中心に精力的な演奏活動を続けており、その音楽は多くの人々に感動を与え続けています。

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