エムデン (軽巡洋艦・初代)

SMS エムデン (初代)

エムデン (SMS Emden) は、ドイツ帝国海軍のドレスデン級小型巡洋艦の一隻で、1909年に就役しました。艦名は、エムス川沿いに位置するドイツの都市、エムデンに由来します。この艦は、優雅な船体から「東洋の白鳥」とも称され、当時の海軍力を象徴する存在でした。エムデンは主に第一次世界大戦中のインド洋において、敵商船に対する通商破壊作戦で多くの戦果を挙げました。

基本情報

エムデンは680,000マルクの建造費で建造され、ドイツ海軍にとって最後のレシプロ機関艦でした。姉妹艦の「ドレスデン」は直結タービンを使用していたため、技術的に異なる特徴を持った艦船です。

艦歴の概要

エムデンの建造は1906年に始まり、同年の4月6日にダンチヒ工廠に発注されました。1908年5月26日に進水し、エムデンの市長によって艦名が命名されました。1910年には東洋艦隊に配属され、青島を本拠地にした艦艇としてアジアへ向かいました。その後、南米への訪問や日本への寄港を経て、9911年の辛亥革命の際に長江へ派遣されました。

通商破壊戦

1914年、第一次世界大戦が勃発すると、エムデンは青島を拠点に通商破壊戦を展開しました。特にインド洋において、イギリスの商船を次々に撃沈し、その活動は連合国の航路に大きな混乱をもたらしました。例えば、9月22日にはマドラスを砲撃し、イギリス海軍に対して強烈な打撃を与えるなど、精力的に行動しました。この砲撃では港湾施設の多くが破壊され、心理的にも連合国に衝撃を与えました。

最後の戦闘

エムデンの運命は1914年11月9日に決定的な転機を迎えました。同日にオーストラリア海軍の軽巡洋艦「シドニー」と交戦し、この戦闘でエムデンは大きな損害を受けました。ミューラー艦長は、艦を守るため北キーリング島に故意に座礁させ、降伏を決断しました。これにより、エムデンの航海は終焉を迎え、その乗組員は捕虜となりました。

エムデンのその後

エムデンの乗員は、戦争の終結後に解放されますが、艦そのものは放置され、その後1950年代初頭に解体されました。しかし、艦の一部はオーストラリア各地で展示されています。また、エムデンの名は戦後も受け継がれ、1916年に二代目のエムデンが建造され、その後もドイツ海軍の歴史に名を刻んでいます。さらに、1921年には新たにエムデンが建造され、第二次世界大戦においても活躍しました。

このように、エムデンはドイツ帝国海軍における重要な艦艇であり、その活躍は歴史に刻まれています。

もう一度検索