エムブレムサーガ

エムブレムサーガ：幻の英雄譚

『エムブレムサーガ』は、2000年にアスキーから発表されたプレイステーション用シミュレーションRPGです。ファイアーエムブレムシリーズの創始者である加賀昭三氏が設立したティルナノーグが開発を担当し、キャラクターデザインは『ファイアーエムブレム トラキア776』の広田麻由美氏が手掛けました。発売前には『エムブレムサーガ』というタイトルでしたが、後に『ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記』と改名され、2001年5月24日に発売されました。

ゲーム概要

本作は、クォータビューのマップ上でユニットを操作し、戦略的な戦闘を繰り広げるウォー・シミュレーションRPGです。複数の主人公と章で構成された重厚な物語が特徴で、プレイヤーは複数の軍団を編成し、戦術マップ上で指示を与えながらシナリオを進めていきます。属性防御や軍団制におけるコストといった新要素も導入されています。

物語の構想

『WEEKLYファミ通』2000年1月21日号によれば、本作は加賀昭三氏がかつて手掛けた『ファイアーエムブレム』シリーズを受け継ぐ作品であり、『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』と同年代の別世界を舞台としています。物語の舞台となるフォーセリア大陸は、『ファイアーエムブレム』シリーズに登場するアカネイア、バレンシア、ユグドラルに次ぐ四番目の大陸という位置づけです。世界観は共通しており、古代竜族「マムクート」の存在が物語の根幹に関わってきます。

ゲームシステムの特徴

軍団制: 最大8人のユニットで軍団を編成し、フィールドマップを進撃します。ユニット同士の親密度によって、人間関係が生まれることもあります。
属性防御: 各ユニットは10種類の属性に対する防御力を持ち、属性攻撃を受けた際の防御ボーナスに影響します。
クォータービュー: クォータービューを採用し、ユニットの向きの概念を導入。敵の背後や側面からの攻撃が有利になります。
スタミナとコスト: ユニットは行動や攻撃を受けるとスタミナが減少し、ゼロになると行動不能になります。また、軍団の移動にはコストがかかり、所持金を管理する必要があります。

登場人物

レイテル: プリンス
ウォルナー: ソシアルナイト
ファリス: レムリス騎士団の一員。ウォルナーと行動を共にしていると思われます。

製品版では、レイテルとウォルナーは『ティアリングサーガ』に登場するジュリアスのグラフィックが使用され、ファリスは緑髪のツインテール少女のグラフィックが使用されています。

訴訟問題

本作は、インテリジェントシステムズ及び任天堂から、ファイアーエムブレムシリーズとの類似性を指摘され、訴訟問題に発展しました。著作権侵害は認められなかったものの、不正競争防止法違反が認定され、約7600万円の損害賠償が確定しました。この訴訟の影響により、『ティアリングサーガ』のベスト版の発売が見送られる事態となりました。

その後

訴訟問題の影響もありましたが、2005年には『ティアリングサーガ』の続編である『ベルウィックサーガ』が発売されました。また、2006年には『ティアリングサーガ』が「ファミ通名作ゲーム文庫」として復刻販売されています。

関連作品

ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記（エムブレムサーガの製品版）
* ティアリングサーガシリーズ ベルウィックサーガ（2005年にプレイステーション2で発売されたティアリングサーガの続編）

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