エラスムス計画

エラスムス計画 (ERASMUS) の概要

エラスムス計画は、正式には「European Region Action Scheme for the Mobility of University Students」と呼ばれ、1987年に設立されたEUの重要な政策です。このプログラムは、学生と教員の国際的な交流を促進し、ヨーロッパ全体の高等教育の質を向上させることを目的にしています。エラスムス計画は2007年から2013年にかけてのEU生涯学習計画の基幹事業として、また、欧州連合による高等教育の実施框組みとして位置づけられています。さらに、2004年には国際協力に対する優れた実績が認められ、アストゥリアス皇太子賞を受賞しています。

エラスムス計画の背景と目的

エラスムス計画は、当初の構想には多くの目的が盛り込まれています。具体的には、次のような点が挙げられます：
1. ヨーロッパ全域での学生と教員の交流を促進し、質的な向上と参加者数の増加を図ること。
2. 高等教育機関の間での国際的な協力の増進。
3. 高等教育機関と企業の間の連携を強化し、より良い成果を生み出すこと。
4. 大学間での教育の革新を進めるとともに、新しい教育方法や支援の拡充を図ること。

エラスムス計画は、特に学生の交流促進で知られていますが、大学間の協力を強化するためのプログラムも支援されています。これには共同カリキュラムの開発や集中講義の実施などが含まれ、特に英語圏の大学に対抗する目的も見られます。重要なのは、EUの教育制度を均一化するのではなく、各国・地域の伝統や言語を尊重し、その違いを認識しつつ相互理解を促すことです。

エラスムス計画は、EU内だけでなくアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーなどのEEA(欧州経済領域)の国々、さらにはEU加盟を志望するトルコなどを含む多くの国へも拡大しています。

各国の動き

エラスムス計画に対する各国の姿勢も興味深いです。スイスは1990年代にこのプログラムから離脱しましたが、2007年には再参加しました。対照的に、EUを離脱した英国はエラスムス計画からの脱退を選び、2021年にはチューリング計画を立ち上げています。このように、エラスムス計画を利用する国々の状況は変化してきています。

エラスムス・ムンドゥス計画

エラスムス計画の他に、「エラスムス・ムンドゥス」プログラムも存在します。このプログラムは、ヨーロッパの教育を国際化することを目的としており、特にヨーロッパ以外の学生にも開かれています。エラスムス・ムンドゥス計画は、国際的な大学修士課程の学生たちの交流を促進し、国境を越えた学習の機会を提供する役割を果たしています。

その他の関連プログラム

エラスムス計画に関連する他の重要なプログラムには、以下のようなものがあります：

• - テンプス（Tempus）計画：1990年に設立されたもので、EUメンバー国と協力国間における高等教育の共同プログラムです。
• - リンガ（Lingua）計画：1990年に始まった言語教育の促進に向けたプログラム。
• - レオナルド・ダ・ヴィンチ計画：1994年に発足した職業教育向けのEU行動計画です。

これらの計画は、エラスムス計画の理念を補完し、さらなる教育の振興を目指しています。

まとめ

エラスムス計画は、教育の国際化だけでなく、学生や教員の国境を越えた交流を促進し、質の高い高等教育の実現を目指す重要な政策です。EUの枠を超えた広範な影響力を持つこのプログラムは、今後も多くの学生や教員に新しい学びの機会を提供し続けるでしょう。

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