エリカ38

エリカ38の概要



『エリカ38』（Erica38）は、2019年に制作された日本映画です。樹木希林が企画し、浅田美代子が映画初主演を務め、日比遊一が監督・脚本を担当しました。本作は実際の出来事を基にしており、PG12に分類されています。樹木と浅田は、テレビドラマ「時間ですよ」で共演して以来の知り合いであり、樹木は浅田の芸能界での代表作となることを望んでいました。そのため、樹木自身もキャスティングや脚本に積極的に関与し、物語中で浅田が演じる聡子の母親役を務めました。

あらすじ



物語は、渡部聡子という若い女性が新橋のクラブでホステスとして働きながら、アメリカ製のサプリメントを販売するマルチ商法に手を染めるところから始まります。彼女はある日、伊藤と名乗る女性から声をかけられ、1個12,500円のサプリメントを15個も購入されます。伊藤の名刺には商事会社の会長という肩書きが書かれており、聡子は彼女との関係を通じて新たなビジネスチャンスを得ることになります。

数ヶ月後、聡子は伊藤を通じて平澤という男と出会います。平澤は国防に関連したプロジェクトに関わっており、聡子は彼の魅力に引き込まれつつも、ビジネスパートナーとしての関係を築くことになります。平澤の指導のもと、聡子はカンボジアの支援事業に関わることになり、多額の資金を集めることに成功します。彼女は自身の魅力を活かし、金庫に入りきらないほどの現金を手に入れることになりますが、それと同時に平澤との個人的な関係も深まっていきます。

その後、聡子は高齢の資産家・佐々木と結婚し、自宅を豪邸に変えますが、平澤の不誠実な行動に悩まされることになります。逆境に立たされた聡子は、心機一転タイへ旅立ち、そこで新たな恋人となるポルシェという青年と出会います。聡子は彼に多くの資金を注ぎ込み、愛情を注ぎますが、彼が真実を知っていることも計画には含まれていません。

しかし、時間が経つにつれて、聡子は自らの立場が危うくなっていることに気づきます。亡くなった佐々木の資産とともに、彼女が集めた資金も消失。投資者たちが聡子を責めるようになり、彼女の生活は崩壊の危機に直面します。追い詰められた聡子は平澤や弁護士に連絡を取るふりをしますが、その実、もはや彼とは連絡が取れない状況でした。最後の手段として、自分を正当化する言葉を口にします。

最終的に、聡子はタイへ戻り、ポルシェとの愛を再燃させるものの、彼女の過去は決して消えることはなく、現地の警察に拘束されて日本へ強制送還される運命に。彼女の崩れゆく人生が描かれた本作は、詐欺や欲望、愛と裏切りの物語を通じて、人間の悲劇的な側面を伝えています。

評価と受賞歴



『エリカ38』は2019年のロンドン・イーストアジア映画祭のコンペティション部門に出品され、主演の浅田美代子は審査員特別賞を受賞しました。これは日本の女優にとって初めての快挙となりました。

ブルーレイ＆DVD



2020年5月13日には、よしもとミュージックより本作のBlu-rayおよびDVDが発売されました。

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