エリマキライチョウ

エリマキライチョウ

分類と名称

エリマキライチョウ（学名：Bonasa umbellus）は、キジ目に含まれるライチョウ科エリマキライチョウ属に分類される鳥類です。その和名は、繁殖期を迎えたオスの特徴的な求愛行動に見られる、首の側面の飾り羽が大きく広がった様子が、あたかも襟巻きをしているように見えることに由来しています。

分布

この鳥は、北米大陸の広範な地域に分布しています。具体的には、カナダ南部からアメリカ合衆国北部・中部にかけて、さらに西海岸やアラスカ南東部、東部の州に至るまで、非常に広い範囲でその姿を確認できます。生息域内では複数の亜種に分化しており、それぞれの亜種が特定の地域に適応した分布を示しています。例えば、カナダのブリティッシュコロンビア州からアメリカのオレゴン州にかけて、また五大湖周辺やアパラチア山脈の地域など、多様な環境で見られます。

形態

成鳥の全長は39.2センチメートルから46.6センチメートルほどになり、ライチョウ科の鳥としては中くらいの大きさです。

翼長はオスが17.1〜19.3センチメートル、メスが16.5〜19センチメートルです。
体重はおおよそ0.6〜0.7キログラムです。

特徴的なのは、他の多くのライチョウ類と異なり、後肢が羽毛に覆われていない点です。しかし、冬季になると、雪上での移動を助けるためか、趾の側面に櫛のような形状の突起が現れるユニークな形態変化を見せます。また、オスの眼の上部には、オレンジ色の肉質があるのも識別点の一つです。

生態

エリマキライチョウは、季節によって利用する生息地を変える傾向があります。夏季には比較的開けた森林や低木林で活動しますが、冬季には積雪のある環境でも活動しやすい針葉樹林を利用することが多いです。

食性は雑食性で、非常に多様なものを餌とします。主に植物の芽、葉、果実、種子などを食べますが、昆虫類なども捕食します。特に冬季には、樹木の芽などを主な食物とします。

繁殖形態は卵生で、つがいは一夫一妻を形成します。繁殖期のオスが行う求愛行動は非常に特徴的で、「ドラミング」または「ほろ打ち」と呼ばれています。オスは地面に立って、首の側面の襟巻き状の羽毛を大きく広げ、尾羽を垂直に立てて扇状に開きます。そして、翼を非常に速く羽ばたかせて「ドドド…」というような低く響く音を立てます。この音は、ドラムを打つような響きがあるため、ドラミングと呼ばれ、メスを惹きつけ、縄張りを主張するために行われます。

営巣は4月から5月にかけて行われます。地面の浅い窪みや、倒木や木の根元などに、枯れ葉や草などを敷いてシンプルな巣を作ります。一度の産卵数は6個から15個で、平均的には12個程度の卵を産みます。抱卵はメスのみが行い、抱卵期間はおよそ24日間です。

人間との関わり

生息地では、娯楽としての狩猟の対象とされることがあります。その肉は食用とされますが、地域によっては保護の対象となっている場合もあります。

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