エリーザベト・シャルロッテ・フォン・デア・プファルツ (1597-1660)

エリーザベト・シャルロッテ・フォン・デア・プファルツ：大選帝侯の母

エリーザベト・シャルロッテ・フォン・デア・プファルツ（1597年11月19日 - 1660年4月26日）は、プファルツ＝ジンメルン家の公女で、ブランデンブルク選帝侯ゲオルク・ヴィルヘルムの妻として、また大選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムの母として歴史に名を残しています。彼女の生涯は、当時のヨーロッパにおける宗教的・政治的対立が激化した三十年戦争の時代と重なり、その中で彼女は選帝侯妃として、また母親として重要な役割を果たしました。

生い立ちと結婚

エリーザベト・シャルロッテは、プファルツ選帝侯フリードリヒ4世と、オラニエ公ウィレム1世の娘ルイーゼ・ユリアナの間に生まれました。1616年、彼女はブランデンブルク選帝侯家の世継ぎ公子ゲオルク・ヴィルヘルムと結婚。この結婚は、プロテスタントの有力諸侯家門であるブランデンブルクとプファルツの同盟を強化するための政略的なものでした。

三十年戦争とブランデンブルク

1618年、エリーザベト・シャルロッテの兄であるプファルツ選帝侯フリードリヒ5世がボヘミアの対立王に推戴されたことから、三十年戦争が勃発。夫ゲオルク・ヴィルヘルムは気が弱く、エリーザベト・シャルロッテに影響されることが多かったと言われています。フリードリヒ5世が白山の戦いに敗れてボヘミアを追われると、ゲオルク・ヴィルヘルムは彼をブランデンブルク領内のキュストリンに匿いました。このことが、ブランデンブルク選帝侯家とオーストリア皇帝家の対立を深めることになりました。

三十年戦争中、ブランデンブルク＝プロイセンは大きく動揺しました。親オーストリア派でカトリックの宰相アダム・フォン・シュヴァルツェンベルクが実権を握り、それに対抗する野党「プロテスタント宮廷派」が存在しました。後に宰相となるオットー・フォン・シュヴェリーンは、1637年にエリーザベト・シャルロッテの宮廷に仕えてから出世した人物です。

大選帝侯の母として

エリーザベト・シャルロッテは、大選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムを育てた母として高く評価されています。彼女は息子の教育に熱心で、侍従のヨハン・フリードリヒ・フォン・カルクムに傅育係を命じ、息子にプロテスタントとしての自覚を深く植え付けました。大選帝侯は母を深く慕っていたと言われています。

夫と死別後、エリーザベト・シャルロッテはクロッセン・アン・デア・オーダーで寡婦としての余生を送りました。

子女

ルイーゼ・シャルロッテ（1617年 - 1676年）：クールラント公ヤーコプ・ケトラーと結婚
フリードリヒ・ヴィルヘルム（1620年 - 1688年）：ブランデンブルク選帝侯（大選帝侯）
ヘートヴィヒ・ゾフィー（1623年 - 1683年）：ヘッセン＝カッセル方伯ヴィルヘルム6世と結婚
ヨハン・ジギスムント（1624年）

エリーザベト・シャルロッテは、激動の時代において、選帝侯妃として、そして何よりも大選帝侯の母として、ブランデンブルク＝プロイセンの歴史に大きな足跡を残した女性でした。

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