エルドラド (アルバム)

エレクトリック・ライト・オーケストラ（ELO）が1974年に発表したスタジオ・アルバム『エルドラド（Eldorado - A Symphony By The Electric Light Orchestra）』は、初期ELOを代表する作品として知られています。

本作は、夢の国「エルドラド」を舞台に繰り広げられる出来事を描いたコンセプト・アルバムです。物語は、現実世界に幻滅した男が夢の国エルドラドへ旅立ち、そこで様々な経験をするというもの。各楽曲は、エルドラドでの出来事や男の心情を表現しており、全体を通して一つの壮大な物語を構成しています。

本作の大きな特徴として、ストリングスアレンジに指揮者のルイス・クラークを迎えたことが挙げられます。彼の参加により、ELOのストリングスサウンドはより洗練され、本格的なオーケストラが導入されました。初期ELOのサウンドを特徴づける要素の一つとなっています。オーケストラの比率は、後のアルバム『ディスカバリー』（1979年）でさらに大きくなり、最終的にはバンド内のストリングスメンバーが参加する機会がなくなりますが、本作ではELOのストリングスメンバーとオーケストラがバランス良く共演しており、それぞれの持ち味が生かされています。

アルバムジャケットは、映画「オズの魔法使い」のワンシーンをモチーフにしています。夢の国への憧憬を象徴するイメージが、アルバムの世界観と見事に調和しています。

収録曲は以下の通りです。

1. エルドラド＝序曲 - Eldorado Overture
アルバムのテーマ曲であり、男性の声が男をエルドラドへと誘います。アルバム全体を象徴する重要な楽曲で、A面とB面の最後にリプライズとして登場します。
2. 見果てぬ想い - Can't Get It Out Of My Head
シングルカットされ、ELO初の全米TOP40ヒットにしてTOP10入りを果たした大ヒット曲。海の波に立つ女性に心を奪われる男の心情を歌っています。印象的なメロディとストリングスアレンジが魅力です。
3. ボーイ・ブルーの帰還 - Boy Blue
ジェフ・リン曰く、「中世の、全てを統べる英雄についての曲」であり、反戦歌のメッセージが込められています。ブルーはジェフのお気に入りの色でもあります。シングルカットされ、ベスト盤にも収録されています。
4. ラレドの嵐 - Laredo Tornado

5. プア・ボーイ - Poor Boy (The Greenwood)
男がエルドラドの丘の上で、ロビン・フッドの従者である自分を妄想する様子を描いています。オランダでシングルカットされました。
6. 偉大なる支配者 - Mister Kingdom
B面は、この曲から始まるメドレー形式となっています。ザ・ビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」にヴァースのメロディが似ているという指摘もあります。
7. ノーバディズ・チャイルド - Nobody's Child
エルドラドの年上の女性が男を誘惑する様子を、ジャズテイストで表現したナンバーです。
8. ト長調の幻想 - Illusions In G Major
前曲とは打って変わって、ロックンロールナンバー。ロックンロール少年が、精神科医に不思議な幻覚について話しています。
9. エルドラド - Eldorado
目が覚めて現実世界に戻った男が、エルドラドを忘れられず、再びそこへ行こうと試みる様子を描いています。逆再生すると悪魔のメッセージが聞こえるという噂が立ち、訴訟問題に発展しました。この出来事がきっかけとなり、ジェフ・リンは次作『フェイス・ザ・ミュージック』で逆回転メッセージを多用するようになります。
10. エルドラド＝終曲 - Eldorado - Finale

2001年のリマスター盤には、ボーナス・トラックとして以下の楽曲が収録されています。

エルドラド(インストゥルメンタル・メドレー) - Eldorado Instrumental Medley：収録曲のオーケストラトラックを連結したメドレー。
ダーク・シティ(デモ) - Dark City (Demo)：「ラレドの嵐」の初期テイク。

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